設立趣旨
1996年11月全国私立大学宛呼びかけ
二十一世紀を目前にして、我が国の大学を巡る状況は大きく変化しつつあります。大学設置基準の大綱化と十八歳年令人口の減少に端を発した「大学改革」の動きがいまや確実なトレンドとなり、試行錯誤の中から一定の成果を挙げつつありますが、これらの動きの意味づけにあたっては、その背景にある地球社会化(グローバリゼーション)や情報社会化、価値観やライフスタイルの変化と生涯学習社会化などの大きな社会変化を見落とすことはできません。
これらの時代変化を受けて、大学の使命といわれる「教育」と「研究」の発現のあり方も変化せざるをえず、それはまた、これらの機能遂行に直接あるいは間接にかかわる大学構成員としての「教員」「職員」「学生」それぞれの役割と相互関係の変化を促しています。
いっぼう、今日の大学という組織の運営を司る「行政・管理」の領域にあっては、「教授会自治」さらにいえば「教員自治」の伝統的大学運営をいかに「近代化」できるかが問われており、それは煎じ詰めれば、「行政・管理機能」のプロフェッショナル化の要請ということができましょう。
この面での先進事例を見てみると、アメリカでは、大学の行政管理職員(アドミニストレータ)が教員の兼務職ではなく自律的かつ高度な専門職業として機能し、世界で最良の大学群を生み出したアメリカの大学システムの発展に大きく貢献してきたことは衆知の事実です。
そのような観点からすれば、我が国の大学組織においても「職員」が本来果たすべき役割は極めて大きいはずです。しかし現実は残念ながら、大学内外を問わず「職員」の役割についての認知は未だに十分確立されているとはいいがたく、また、「職員」自体の自覚と意欲に関しても、また、それを担うに必要な資質・能力の点でも、問題なしとするには程遠いといわなければなりません。
このような理念と現状の認識の上に立って、プロフェッショナルとしての大学行政管理職員の確立を目指して、まずは「大学行政・管理」の多様な領域を理論的かつ実践的に研究することを通して、全国の大学横断的な「職員」相互の啓発と研鑚を深めるための専門組織として、このたび「大学行政管理学会」を発足させる運びとなりました。
発足の暁には、この種の組織がややもすれば陥りがちな閉塞状態と無縁でいられるためにも、できるだけオープンな活動を心がけ、組織としては様々な領域の活動を重層的に展開していく所存です。つきましては、以上の発会の趣旨にご理解とご賛同をいただき、別紙の要領にしたがって数多くの大学から一人でも多くの管理職員の方々にご賛同いただけるよう念願いたしております。
平成8年11月吉日
世話人(五十音順) | 発起人(五十音順) | |
石井秀夫(立教大学) 川上ひめ子(国際基督教大学) 高橋輝義(中央大学) 孫福 弘(慶應義塾大学) 宗像知機(青山学院大学) 村上義紀(早稲田大学) 山本忠士(亜細亜大学) | 阿久津興一(法政大学) 伊藤 昇(立命館大学) 猪野道夫(松山大学) 柿本静志(産能大学) 木村国男(同志社大学) 小西靖洋(関西大学) 後藤 勝(南山大学) 杉崎正彦(東京電機大学) 杉本一久(上智大学) 鈴木重徳(専修大学) 諏訪一杯(北里大学) | 諏高徳信子(日本女子大学) 橋本紀二六(拓殖大学) 平野悦治(東海大学) 宮下和義(西南学院大学) 室谷道義(関西学院大学) 山木戸美智子(広島修道大学) 池永悠紀雄(龍谷大学) 大津忠行(北星学園大学) 吉田俊一(東北学院大学) 吉田隆治(明治大学) |