教育マネジメント研究会

研究会等名称(設置地区) 教育マネジメント研究会
(関東地区)
活動目的 個人レベルの研究、各大学における事例等を通じて、そこから課題を発見し、将来に向けて、大学における学事とは何か、学事におけるアドミニストレーターの機能、役割は何かということを追究することを目的としている。
参加資格・条件 「教育マネジメント」分野での経験と見識のある方を参加対象とする。
活動状況 研究会News アーカイブ
(1)開催ペース(毎月1回、第何曜日など) 2~3ヶ月に1回程度の週末開催
(2)主たる開催場所 研究会員の所属大学を持ち回り(関東・中部・関西・九州など)
(3)主な活動経過 ○第15回研究会(2009.9.27)会場:立教大学 参加者:11名
 テーマ『教育マネジメント研究の方向性』(継続)
1)話題提供:13:00~14:00
 獨協大学 水野雄二氏 「正課カリキュラムの中での教職協働事例」
2) ワークショップ :14:00~17:00
 ファシリテーター :教育マネジメント研究会カリキュラムグループ
 テーマ:カリキュラムの文脈における教育マネジメントを考える

○第16回研究会(2009.11.14)会場:芝浦工業大学 (学事研究会合同) 参加者:22名
1)教育マネジメント研究会:テーマ「学生像を見据えた教育マネジメント」
 (1) 教育マネジメント研究について、(2) 研究報告、(3) 報告者による相互コメント
 日本福祉大学 水谷早人氏、名城大学 神保啓子氏、椙山女学園大学 原田美佳氏
2)学事研究会 研究発表
 (1)「教務職員にできること-”徹底”-」、
 (2)「旧外地官立高等学校の「高等普通教育」に関する研究-台北高等学校と旅順高等学校-」獨協大学 水野雄二氏
3) 学事研究会活動報告

○第17回研究会(2010.3.20)会場:椙山女学園大学(中部・北陸地区研究会合同)
 参加者:30名
 1)ゲスト講師によるレクチャー&ディスカッション
「大学って何なの?落下傘で降り立ってみてわかったこと伝えたいこと」
 立川幸治氏(名古屋大学医学部・医学系研究科 教授)
2)学生支援グループプレゼンツ
「学習を促進するための学生支援とは?-米国学生支援からの示唆-」
 小貫有紀子氏(九州大学教育改革企画支援室 助教)

○第18回研究会(2010.6.27)会場:甲南大学 参加者:37名
1)ゲスト講師によるレクチャー
「学士課程教育における学生調査とIRの重要性とは-米国の事例を参考にして-」
山田礼子氏(同志社大学 社会学部 教授)
 2)研究会アウトプットについて
(4)現在の活動状況・研究テーマ等 1)「教育マネジメント研究」の方向性とアウトカム・イメージの具体化を追究し、研究・行動計画を確定する。
2)「教育マネジメント研究」のウェブでの情報発信。
3)他の研究会との合同研究会を適宜開催する。
その他
代表者 日本福祉大学 学生支援部学生支援課
水谷早人(みずたに はやと)
電話番号 0569-87-2323
hayato(at)n-fukushi.ac.jp



◎第18回 教育マネジメント研究会

日 時:2010年6月27日(日)13:30~17:45
場 所:甲南大学岡本キャンパス 6号館4階 643講義室
参加人数:37名(内、研究会メンバー9名)

■基調講演
山田 礼子氏(同志社大学 社会学部教授)
「学士課程教育における学生調査とIRの重要性とは-米国の事例を参考にして-」

山田氏に、IR(Institutional Research)および学生調査をテーマに、日本での導入の背景、またアメリカでの歴史や実践、日本での学生調査の事例紹介等に触れて話していただいた。

はじめに山田氏は、IRイコール質保証ではないこと、あくまでも質保証の1つのツールであること、その中に学生調査があることを強調して述べられた。日本では、IRの進展によって標準化された情報公開が可能になること、社会によくわかる情報を同じような指標で提供するということが可能になることが期待されている。ただ、 アメリカに比べ、専門的な組織がなく、ミッションや戦略もアメリカのように確立されていない。山田氏は、今年アメリカで開催されたIRの学会(AIR)に出席し、発表を行った。AIRに参加しているメンバーは、IRを行った。AIRに参加しているメンバーは、IRの専門家であり、Ph.Dを持ちトレーニングを受けた人がほとんどである。人材育成の面でも、アメリカでは蓄積がされているが、組織や風土の違いにより日本でそのまま制度を導入することは困難であることを述べられた。

アメリカの事例紹介の後、アメリカで実施されているCIRP及びCSS調査の日本版である日本版学生調査(JCIRP、JSCC)について紹介がなされた。まず、山田氏は、アウトカム・アセスメントの効果測定として、直接評価、間接評価、プログラム評価の連携が必要であるということを述べられた。日本版学生調査の事例として、単位制が課題である日本の大学の姿、不本意入学群の多い大学、また入学後燃え尽き群の多い大学の状況がデータによっても浮かびあがったこと、こうした結果を受けて育成プラグラムを検討することの必要性が報告された。また、新入生調査(JFS)からは、専攻分野と補習授業の受講との対応分析、高校時代からの受動的学習の影響によるデータ結果についての話がなされた。

まとめとして、山田氏から、アメリカに比べ、日本が短い期間でIRが急速に環境変化をしていくことに対し、対応する組織、人材育成、ミッションについてどのように進めていくべきか問いかけがなされた。また、新しいIRの機能として、既存データの理解の支援、「マイナスの事実」に価値を見いだせるように努力すること、一般に公表すべきデータの選定をすることを支援することが必要であることを述べられた。

山田氏による基調講演の後、講師と出者による質疑応答、ディスカッションがなされた。主な内容は以下のとおりである。

・IRは、どのようなミッションで行われるべきか。
・IRのミッションとしては、まずは、ステークホルダーの期待を可視化することが必要ではないか。
・IRを行う組織の位置づけは、教学か、経営側か。
 →非常に難しいが、アメリカでは教育担当副学長の場合が多い。ただし、担当者は、財務分析等経営に関わる財務分析も行う。
・収集・分析するデータを生かす主体とは?
・学部間の競争意識があり、IRがなかなか進まない。
 →グローバル化する時代の中で、国際比較における日本の大学の現状を理解し、教育活動を変革するという意識を持つことが必要。
・日本の学生調査をしていて以前の大学生の姿と異なる点はどのような点か。
 →学生の価値観は、大きくは変わらないもの
 である。変化するとしたら10年間ほどはかかるだろう。

■「教育マネジメント研究会」研究会アウトプットについて
(教育マネジメント研究会メンバー)

今後の「教育マネジメント研究会」の研究会アウトプットについて積極的に意見交換が行われ、当面の教育マネジメント研究会の活動報告の形として、ウェブ化に向けた検討を行うことなどが話し合われた。



【平成22年度 研究会予定】
◎第19回 平成22年9月26日(日)
 明治学院大学白金キャンパス

ご関心のある方はお気軽に参加ください。

以 上

(名城大学 神保 啓子)
(椙山女学園大学 原田 美佳)