2019年度事業計画

2019.6.14 第7回理事会

2019年度(2019年7月~2020年6月:第4期)事業計画

はじめに

 高等教育機関を取り巻く環境は、少子化、グローバル化、ICT 化の進展により大学間競争が厳しくなる中、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」(中央教育審議会2018年11月26日)の「2040年頃の社会変化の方向」に掲げられている「SDGsが目指す社会」「Society5.0、第4次産業革命が目指す社会」「人生100年時代を迎える社会」「グローバル化が進んだ社会」「地方創生が目指す社会」を見据え、果たすべき役割と課題に積極的に対応していかなければならない。
 また、大学のガバナンス強化等の観点から「学校法人制度の改善方策について」(大学設置・学校法人審議会学校法人分科会 学校法人制度改善検討小委員会2019年1月7日)が公表され、「学校法人の自律的なガバナンスの改善・強化(責任と権限の明確化によるガバナンスの改善・強化)」「学校法人の情報公開の推進(積極的な情報公開と経営状況の『見える化』)」「学校法人の経営の強化(連携・統合の推進と経営改善に向けた指導の強化)」「学校法人の破綻処理手続の明確化(破綻処理手続の円滑化等による学生保護の充実)」といった事項について2019年度に私立学校法等の改正法案が成立し、2020年度から施行されることになっている。
 こうした大きな変化の中で、大学職員の業務の高度化、多様化に対応するため、職員の資質のさらなる向上と働き方改革、ワークライフバランスを推進していかなければならない。そのためにも業務の平準化と効率化を目指した業務の外部委託化やRPA(RoboticProcess Automation)、人工知能(AI artificial intelligence)等の導入、活用等を推進し、ルーティン業務を軽減し、職員は新たな役割を担っていかなければならない。
 こうした観点からも、JUAM 会員は設立趣旨である「プロフェッショナルとしての大学行政管理職員の確立を目指して、まずは『大学行政・管理』の多様な領域を理論的かつ実践的に研究することを通して、全国の大学横断的な『職員』相互の啓発と研鑽を深めるための専門組織」として会員個々の研鑽や会員相互の連携により専門性を高め、様々な課題に向き合っていくことが必要である。

 2019年度は、著しく変化する大学を取り巻く状況を見据えるとともに、これまでの事業を継承しつつも新たな課題に対し、積極的かつ真摯に取り組んでいく。

<重点課題>

 2018年度は、学会創立21年目であり、30周年に向け、さらなる基盤強化および各種活動の活性化を進める第一歩とした。2019年度は引き続き、次の4項目を重点課題とし、一丸となって取り組む。

1.研究会・研究グループ等の活動の活性化
2018年7月に開催した「研究会代表者と三役・常務理事との懇談会」での報告を踏まえ、課題を整理し、今後の研究会・研究グループ等の活動の活性化策を引き続き検討し、できるものから順次実施していく。
2.若手・女性の活躍を支援
各研究会からの推薦、自薦等を踏まえ、様々な若手、女性の活躍の場(シンポジウム等のパネリスト等)を設けるなど、積極的な学会活動を行える状況を整備する。
若手研究奨励制度への応募や学会誌への投稿を促す企画を研究集会で実施する。また、JUAM創立20周年事業による若手海外派遣事業の成果をふまえ、今後のAUAの派遣者公募に際し、若手や女性の積極的な応募を促す。
3.社会への発信力の強化
一般社団法人格を有する本学会の社会における存在価値をさらに高めていくために、社会への発信力を強化していく。具体的には、前年度試みた全国複数会場での特別シンポジウムを新たなテーマの下で開催するほか、関係省庁・機関との連携強化、アンケート結果に基づくウェブの改良および活用促進、プレスリリースの促進などに取り組む
4.組織基盤の強化
組織基盤を強化するため、会員の拡大策について、現状を分析し、きめ細かな会員募集活動策を検討し、実施する。
一般社団法人化により、各種規程等との整合性を検証し、ルールが不明確な事項については、規定化、ルール化を行い、組織運営の安定化を図る。
また、現状の収支状況に鑑み、2019年度も引き続き経費削減を実施する。

<2019 年度事業計画>

重点項目1:研究会・研究グループ等の活動の活性化

(1)持続的運営における課題への対処
2018年7月に開催した「研究会代表者と三役・常務理事との懇談会」での報告を踏まえ、課題を整理し、今後の研究会・研究グループ等の活動の活性化策を引き続き検討していく。
ウェブサイトがリニューアルするのを踏まえ、研究会・研究グループの研究発表等について積極的な掲載を周知し、促していく。
テーマ別研究会については、設置や運営ルールの整備を行う。
(2)研究会活動の活性化策の検討と実施
学会員の研究論文作成や研究発表への挑戦を促進する。そのために、論文作成のガイドラインや研究発表の留意点などの役立つ情報をJUAMウェブサイトの会員専用ページに掲載することについて、広報委員会、研究・研修委員会、学会誌編集委員会の連携・協力のもと検討し実施する。
(3)JUAM 奨励賞の定着
会員の地道な研究活動を顕彰するため、「JUAM 奨励賞規程」にある授与対象要件の周知や推薦者の推薦理由を明確化(具体的な貢献内容等)する。JUAM の会報、ウェブサイト等で徹底したアナウンスを図る。

重点項目2:若手・女性の活躍を支援

(1)海外派遣等の慫慂
グローバル化のさらなる進展を踏まえ、若手を中心に積極的に参加できる環境を整える。会員の所属大学に対し、参加を促していただくよう依頼する。また、JUAM 創立20周年事業による若手海外派遣事業の成果をふまえ、今後のAUA の派遣者公募に際し、若手や女性の積極的な応募を促す。
(2)若手研究奨励の積極的応募の慫慂
若手研究者が所属する各研究会・研究グループ等から推薦を募るなど、新たな応募方法を検討し、新たな活動の場を設ける。また、若手研究奨励制度への応募や学会誌への投稿を促す企画を研究集会で実施する。
(3)他機関との連携とグローバル化への参画を奨励
国際的な連携に関する方針について、国際委員会で整理されていることから、これにもとづく具体的な連携を検討する。JUAM 創立20周年事業による若手海外派遣事業により、AUA との関係が強化されており、今後はさらなる連携を進める。

重点項目3:社会への発信力の強化

(1)特別シンポジウムの開催
2018年度の試みとして全国5会場で開催した特別シンポジウムの開催結果(総括)を踏まえて、本年度においても特別シンポジウムを全国複数会場で開催する。JUAM の存在価値を高めることにつながるよう、時宜をとらえた全体テーマの設定、開催時期、さらには地区研究会とテーマ別研究会との合同開催の可能性、効果的な情宣方法などを新役員体制の下で検討し開催する。
(2)文部科学省等の関係省庁・機関との連携強化
文部科学省をはじめとする関係省庁・機関との連携・対話の場を増やし、JUAM が有する「大学行政・管理」についての実践と理論の蓄積を、社会に最大限に生かす具体的施策をあらためて考え、実践していく。特に、昨今、個別大学からJUAM に講師派遣の要請・紹介依頼があり、これらのニーズに的確に対応できる機能を高めていく。
(3)ウェブサイトの活用促進およびプレスリリースの推進
2019年2月に実施したJUAM ウェブサイトに関する会員アンケートの分析結果を基に、可能なものから改良を加え、ウェブサイトの活用促進を図る。また、前年度において、定期総会・研究集会のみならず、地区研究会や特別シンポジウム等の活動をプレスリリースすることにより、マスコミに取り上げられる効果が出てきている。本年度においても、これをさらに推進していく。

重点項目4:組織基盤の強化

(1)会員拡大の取り組み(特に若手・女性)
会員数及び学校数の拡大を目指し、現状を再確認し、その分析等について組織委員会に諮問するとともに、併せて大学改革研究会に依頼し、報告を得た。同報告をもとに可能なものから実施していく。また、JUAM 正会員がいる大学への学会活動への配慮、入会推奨依頼の実施と正会員がいない大学等への入会依頼を実施する。SDの義務化に対応する大学教員のJUAM 活動との連携検討(教職協働の見える化)、JUAM活動の理解発展のための各大学の理事長、学長、教授等の会員加入活動を展開する。
(2)新しい役員体制の検討
現状を再確認し、一般社団法人に相応しいガバナンス体制を構築するため、組織委員会へ諮問し、答申を得た。第13期の新役員のもと、具体的な体制構築を検討し、実施していく。
(3)合理的な運営による経費削減
第12期より(2018年度)常務理事会を年6回から5回に変更し、また、開催日についても、金曜日を中心とし宿泊費等の削減に努めることとしている。(土曜日より宿泊費が安価)。2019年度も引き続き同じスケジュールとする。
今後、学会予算の執行基準等ルール化が必要な案件は、適宜検討し周知を行っていく。
全体的には、各委員会・研究会予算、管理経費等法人全体の予算編成の考え方も、見直していく。
(4)事務局体制の検討
学会活動の拡大・多様化、学会の一般社団法人化などにより、永続的な財務体制の構築の下、諸課題に対処していく必要がある。円滑な事務局運営のため、課題の洗い出しを行い、今後の体制等について検討する。
(5)ウェブサイトの安全・安定運用の検討
2018年度、JUAM ウェブサイトのセキュリティ上の課題について、一定の改善を図った。
今後は新しい仕組みを軌道に乗せるべく、課題に対処していく。役員、広報委員会を中心に対応を検討する。又、Google for Nonprofit を活用し、活動の活性化に繋げていく。

<理事会・常務理事会の開催予定>

理事会、常務理事会ともに原則として事務局長校で開催。ただし 2019年 9月は総会・研究集会会場校(実践女子大学)で実施予定。
このほか、常務理事の所属大学での開催や地区研究会等との同時開催など、年間 1~2回程度、役員が地区研究会等に参加する機会をつくる。重点項目3(1)の特別シンポジウムという形などを想定する。
理事会
2019年9月、2020年5月~6月上旬の2回を予定する。
常務理事会
2019年7月、9月、12月、2020年3月、5月~6月上旬を予定

<第23回定期総会・研究集会会場校>

2019年9月7日(土)~8日(日)実践女子大学