2025年6月6日 第23回理事会
2025年度(2025年7月~2026年6月)事業計画
はじめに
今、我が国の出生数は減少が止まらず、従前からの18歳人口を主な入学対象とする「ビジネスモデル」を維持する限り、大学の統廃合や規模縮小は避けられない状況にある。今後、学生募集停止や大学の閉鎖、女子大学の共学化への転換が加速する等、真の意味で「大学淘汰の時代」が訪れ、多くの大学(特に私立大学)の経営が困難になっていくことが予想される。
会員の構成も、管理職に限定していた創設時と比較すると、女性会員、若手会員、非管理職層の比率が増加するなどの変化がみられる。また、若手・中堅会員を中心に「研究」への意識が高まっていることもあり、会員間で活動目的や学会への帰属意識に違いが生じている。このような状況においては、さまざまな構成員の意向を尊重したエンゲージメントの高い運営(DEI)が求められる。
その一方、創設時に多くの世話人や発起人が所属していた、いわゆる「大規模大学」の会員は減少傾向で、そのことによって社会に対する発信力が弱まることが懸念される。学会が多様な大学の会員によってバランスよく構成されることで、学会の持続可能性が高まると考える。
そのような厳しい環境の中でも、日本の高等教育を維持しさらに充実させるためには、大学の経営や運営を担うアドミニストレータ人材の育成は重要な課題であり、その目的に沿った活動を一層充実させる必要がある。
以上の観点から、2025年度の事業計画案を下記の通りとする。
1.研究活動の活性化(創立30周年の先に繋がる活動)
学会が業界に貢献するとともに会員の満足度を向上させ、また会員層の拡大を図るためには、会員による研究活動の活性化と質の向上が不可欠である。特に、研究集会の開催と学会誌の発行は、全会員に直接的に還元する二大事業であり、また、その基盤となる地区別、テーマ別研究会等の活動の集大成といえるものである。引き続き、これらの事業について、学会であるとともに実務家団体である本学会の特色を明確にしつつ充実させることが、会の発展や継続に向けて極めて重要である。
以上のような観点から本項について以下の施策を掲げることとする。
(1)定期総会・研究集会の充実および学会誌の充実による会員層の拡大と次世代の育成【三役・各委員会・各研究会】
(2)今後のJUAM「国際化」の進め方や体制についての検討【三役・国際】
(3)地区別研究会、テーマ別研究会の活性化【各研究会】
(4)若手・女性の参加や研究会間の交流を促進するイベントへの支援による活性化【三役・各研究会】
2.30周年記念事業を通した社会への発信力強化
2027年1月に30周年を迎える本会の認知度や優位性を維持し、また活動内容を広く社会に還元することでその価値を高めるためには、前項で述べた研究活動の活性化とともに、その内容を積極的に発信することが必要である。
そのため、2026年度から2027年度にかけて創立30周年記念事業を行うこととし、2025年度はその企画を準備するともに、それらを通してより積極的に情報発信を行う。
(1)設立30周年事業の実施準備【三役・30周年委員会】
(2)文部科学省、大学関連団体等との交流【三役】
(3)大学等への活動内容・成果の発信強化【広報・TF】
3.高等教育の将来を見据えた学会のあり方の再検討
高等教育の規模縮小が心配される状況の中で、学会における組織的一体感の再構築、満足度の向上など、組織の持続可能性を高めることに資する「ソフトランディング策」を検討する。
(1)検討チームの立ち上げ【三役】
4.組織基盤の強化・安定化
本学会は2027年に創立30年を迎える。これまで、コロナ禍の影響もあり、会員数は長期にわたる減少傾向にあったが、ようやく歯止めがかかりつつある。しかし、充実した研究活動を継続するためには、規模の維持、拡大を意識した施策が必要である。
財政については、会員数の確保とともに、広告や寄付による収入確保や支出の見直しも含め、学会費収入のみに依存しないより安定的な基盤を構築することが必要である。
以上のような観点から本項について以下の施策を掲げることとする。
(1)若手、女性の組織運営への参画促進【三役・組織】
(2)常設委員会(研究・研修、学会誌編集、国際、組織、広報)の運営方法の最適化【三役】
(3)DX 等による事務局・委員会運営の円滑化および事務局校の業務軽減【事務局・三役・各委員会】
(4)安定的な財政基盤の確立に向けた収入の多角化【三役•組織・事務局】
以 上