第7回(2013年度)孫福賞受賞者
吉田 信正 氏(元 法政大学、日本私立学校振興・共済事業団)
1. 表彰日:2013(平成25)年9月8日(日) 2013年度定期総会・研究集会
2. 場 所:東京電機大学 東京千住キャンパス(100周年記念キャンパス)
3.表彰内容:
孫福賞選考規程第7条第1項第一号(研究集会発表、学会誌投稿その他これに準ずる本会内外の特に優れた研究・実践業績)、第二号( 委員会、支部・地区別研究会、テーマ別研究グループ等の成果又は構成会員の特に優れた業績)及び第三号( 大学職員の社会的若しくは国際的評価又は認知度の向上に関わる特に優れた業績)に該当し、同規程第2条第二号、第三号及び第四号により、孫福賞を授与する。
4.選考理由:
(1)研究集会発表、学会誌投稿その他これに準ずる本会内外の特に優れた研究・実践業績 (第7条第1項第一号)
吉田 信正 氏(以後、吉田氏という)は、大学行政管理学会(以後、学会という)創設と同時に入会した学会草創期を支えてきた会員であります。
『大学行政管理学会誌』(第1号および第10号)ならびに『大学行政管理学会報』(2003年、2007年)への寄稿のほか、『IDE 現代の高等教育』、『大学時報』、『大学職員ナレッジ・スタンダード大学業務知識編Ⅰ』、『高等教育研究』等で多くの論考を執筆するなど精力的な研究活動を展開されてきました。さらに、日本高等教育学会発行の『高等教育研究(第16集)』では、学会を代表して「大学行政管理学会の高等教育研究 -15年の活動を振り返って-」を執筆いただくなど学会の認知度向上にも多大なお力添えをいただいております。
また、これらの活動と並行して、学会内外において数多くの講演活動等をおこなってきております。学会の目的にも明記されている「大学の行政管理について実践的、理論的に研究」するロールモデルといえること。
(2)委員会、支部・地区別研究会、テーマ別研究グループ等の成果又は構成会員の特に優れた実績(規程第7条第1項第二号)
吉田氏は、「大学人事」研究グループの初期メンバーであり、1999年4月から2年間にわたって同グループのサブリーダーを務められました。同グループでの活動成果は『大学行政管理学会誌(第3号)』や『大学人事研究』で発表されております。また、SDプログラム検討委員会メンバーとして提言をまとめられ各地区研究会等に赴き会員の意識を喚起することに寄与されたこと。
(3)大学職員の社会的若しくは国際的評価又は認知度の向上に関わる特に優れた実績(規程第7条第1項第三号)
吉田氏は、学会外においても、高等教育発展のための様々な活動を展開されております。例えば、日本私立大学連盟の職員総合研修運営委員会、長期強化コース実行委員会、大学問題研修委員会および研修企画委員会に参画するとともに、日本能率協会私大マネジメント研修企画委員会委員長や筑波大学大学研究センター「大学マネジメント人材養成プログラム」企画委員・講師を務めるなど多くの大学職員の能力開発・経営力強化に尽力されてきました。
さらに学会では、常務理事(第4期)、副会長(第5期,第6期)在任中には会長を補佐し、Association of University Administrators (AUA)との交流協定締結に尽力されました。現在実施しているAUA総会への会員派遣や定期総会・研究集会へのAUAメンバーの招聘など国際的交流の礎を築いていただいたことは、現在さらに将来の会員にとっても有益であると同時に学会の発展にも繋がる優れた実績があること。
5.孫福賞を受賞して
第7回孫福賞を受賞いたしました。身に余る光栄と感謝申し上げます。本紙面をお借りし、推薦くださった理事の方々、選考に当たってくださった横田選考委員会委員長並びに委員の方々、そして、受賞の決定をしてくださいました大工原前大学行政管理学会会長と執行部の皆様に心から御礼申し上げます。
このお話をいただいた時に思いましたことは、第一に、自分が こうした栄えある賞を受賞するに値する活動をしていたのだろうかということ、そして、職業生活にそろそろ終止符を打とうとするこの時期にいただいても良いものだろうかということでした。 この2つの思いは今も心の片隅に残っていますが、自から結論を出すことではないと開き直り、ありがたく受賞させていただくこととしました。それは、この受賞は私だけのものではなく、活動を共にした多くの仲間と一緒にいただくものであると考えたからです。
授賞式において授賞理由のご説明をいただきましたが、その中で述べられた活動の中心は、大学における人事政策や大学職員の人材開発に関する研究であり、実践であり、啓蒙活動です。これらの活動は、1999年の発足当初から所属していた『大学人事 研究グループ』のメンバーとの切磋琢磨やアドバイス、さらには夜毎の熱い本音の交流があってはじめて継続できたものと思っています。また、学会創立以来ご厚誼いただいた先輩・同僚・後輩の皆様からの心温まる励まし無くしてはありえなかったものとも思っています。特に、本賞に名を冠しておられる孫福初代会長を始めとした学会設立当初の中心メンバーの方々からは、若くして知己を得、薫陶を受けました。こうした一群の職員の方々との出会いが現在の私の活動の礎を形づくってくれたのだと考えています。
私は、4年半ほど前に大学を辞し、現在、文部科学省の特殊法人である日本私立学校振興・共済事業団に籍を置いています。高等教育との関わりはあるものの、大学在職中にあった一種の現場感覚が年々薄れてきている気がいたします。今回の受賞を機に、あらためて、どのように高等教育をめぐる活動と向き合うかに思い巡らせたいと思っています。
第7回孫福賞を頂戴しましたことに心から感謝申し上げ、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。
<吉田 信正 氏プロフィール>
<学歴>1972年 3月 法政大学経済学部卒業
<職歴> 1972年 4月 法政大学人事部給与課、人事部人材開発課長、エクステンション・カレッジ 課長、学務部学務第一課長、学務部次長、学務部長、学校法人法政大学理事、法政大学退職後 日本私立学校振興・共済事業団常任監事に就任し現在に至る
<その他役職>
1999年4月~2001年3月「大学人事」研究グループ・サブリーダー、日本私立大学連盟職員総合研修運営委員会副委員長兼長期強化コース実行委員長、1999年9月~2001年9月 事務局長補佐、2001年4月~日本私立大学連盟職員総合研修運営委員会委員長、2001年9月~2003年9月 常務理事、2003年9月~2007年9月 副会長、2005年3月~2005年3月 AUA総会役員派遣(イギリス)、2006年4月~日本能率協会私大マネジメント研修企画委員会委員長、2008年8月~筑波大学大学研究センター「大学マネジメント人材養成プログラム」企画委員兼講師、2008年~2010年5月 SDプログラム検討委員会委員 他多数