新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。2024年が皆様にとって実り多い一年となることを心から願っております。

まず初めに、この新年早々に発生した能登半島沖地震により、影響を受けた会員や関係者の皆様に、心からのお見舞いと深い哀悼の意を表します。地震発生翌日JUAMでは、被害の全容がわからない中ではありましたが、会員と所属大学関係者の皆様の無事を願い、中部・北陸地区研究会にお見舞いを申し上げました。本日に至ってもなお、各種報道やSNSで現地からの発信の様子を見る限り判明しない被害があり、復旧と復興には相応の時間を要することも考えられます。今後、JUAMとして出来うる限り、必要なサポートをしてまいりたいと思っております。

さて、皆様ご承知のとおり、日本の大学を取り巻く環境は、人口減少やグローバルな競争といった外部要因により、大変厳しい状況に直面しています。このような状況下で、国立、公立、私立の区分を超え、さまざまな規模の大学が協力し合い、情報や経験を共有することの重要性がこれまで以上に高まっています。JUAMには、少しずつ異なる背景を持ちながらも、高等教育の発展という同じ目標に向かう仲間が集まり、ともに困難を乗り越え、未来を創出することが期待されています。

情報や経験の共有にはJUAMのような場が有用ですが、一方で場に集まる個人の力量も問われることとなります。そして、変化の激しい社会において40年間あるいはそれより長い期間にわたって仕事を続けるには、知識や経験のアップデートやアンラーニングが重要です。国の施策においても「リスキリング」の推進が重要とされています。

「リスキリング」といっても、何を目指して取り組めばよいのでしょうか。一つの指針として、国が目指すべき未来社会の姿として提唱されているSociety 5.0が挙げられます。Society 5.0とは、内閣府によると「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。

では、このような新しい社会に適応し、またそれを創っていくための知識や経験を、いったい誰から学ぶのでしょうか。今60歳代の方が社会に出た1980年代は、まだインターネットがほぼ実用化されていないどころか、ようやくワープロが普及し始めた時代です。一方で今の20歳代の方は子どもの頃からスマートフォンを使いこなし、学校での情報教育も受けてきています。そしてこの40年間で大学のカリキュラムの体系化も進み、シラバスや成績評価の厳格化が進んだことは皆様ご承知の通りです。もちろん年長者の経験は軽視すべきものではありませんが、若手に学ぶべきことが多いことは間違いありません。

JUAMには、自らの経験や実践を気軽に発表する場があり、またそれをもとに研究へと発展させる場があります。受け身ではなく、自ら発信することにより、能力は大きく向上します。特に若手の方々にとってこうした経験や習慣を身につけることはかけがえのない財産となります。一方で若手の発表を聞くことは年長者のリスキリングやアンラーニングの絶好の機会となります。このようなサイクルによって、私たちは知識を共有し、互いに刺激を受け合いながら、成長し続けることができるのではないでしょうか。

最後になりますが、組織が活性化され成果を上げるためには、構成員みんなが「楽しい」と感じることが重要だと考えています。私たちには「楽しいは正義」という精神を持つことが許されています。もし今が楽しいと思える状況でなければそう思える未来をめざして、主体的にそして楽しく仕事に取り組むべきです。年始の災害や事故の影響を受けた方々を思いやりつつ、ポジティブな姿勢で私たちの職場を明るくし、この一年を共に乗り越えましょう。

2024年が皆様にとって、幸福と成功に満ちた年でありますよう、心より祈念申し上げます。

大学行政管理学会会長 学校法人工学院大学 杉原 明

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