2022-2023年度第1回(通算68回) 中国・四国地区研究会「収入の多角化を実現するために・・・」

2022年10月2日(日)、2022-2023年度第1回(通算68回)中国・四国地区研究会「収入の多角化を実現するために…」をオンラインにて開催し、全国各地から49名の大学教職員が参加した。
 大学経営において、喫緊の課題といえる収入の多角化について、大学教職員の果たすべき役割とは何であろうか。このたびは、国立大学法人においてファンドレイジング業務に従事され、大学ファンドレイジングに関する連載も執筆された島根大学・須山弘一氏に、これからの大学におけるファンドレイジングについてご講演をいただいた。また、事例発表として、九州産業大学の石原弘美氏と藤本昇平氏に、寄附金事業である「大楠アリーナ2020」建設特別募金を実施する中での成果や課題などをご発表いただいた。
 まず、島根大学・須山氏の講演では、ファンドレイジング「7つのステップ」を軸に、寄付を“単なる募金で終わらせない”ために重要な点を学ぶことができた。支援者とのコミュニケーションの大切さや感謝の伝え方、次につなげるための計画性、管理手法、評価までのサイクル化など、各ステップを具体的な事例と共に学んだ。初心者にもわかりやすい言葉で説明がなされ、縁遠かったファンドレイジングを身近に感じる貴重な機会となった。
 次に、九州産業大学・石原氏と藤本氏から、九州産業大学創立60周年記念事業「大楠アリーナ2020」建設特別募金の取組みについての事例発表があった。事業開始前の近隣大学への事例調査から事後に向けての活動マニュアルの作成まで、当時の苦労や達成感を交えながらご説明いただき、その実務経験から、ファンドレイザーとしての学びの必要性などを理解することができた。会の最後には、質疑応答の時間を設け、講師側と参加者が一体となった知識共有・情報共有を行った。

(参加者アンケートより)
 収入の多角化に向けて、学費や補助金(国立大ですと運営費交付金)の他に、資産運用、寄付事業の拡大が選択肢にあるとは思っていました。しかしながら、ファンドレイジングは日本の大学では主流ではなく、また、日本の文化にはなじまないように思っていました。今後、国からの補助金が先細りすることは想定されますので、同窓生や地域企業へのアプローチにより、恒常的な収入源になり得ることが理解できました。アメリカの大学とは歴史や背景が異なりますので、アメリカの大学と同じようにはいかないかもしれませんが、日本の大学では、一部の大学を除き、これまで本腰を入れて取り組まれていなかったように思いますので、本研究会のような事例紹介等の機会が多くもたれ、日本の大学にもファンドレイジングの概念と業務が定着すれば、大学の生き残りにも寄与すると思います。

  • URLをコピーしました!