2021-2022年度第3回(通算67回)中国・四国地区研究会「AfterコロナのSD ~コロナ禍でのオンライン研修の検証を通じて」

■投稿者:西國 真一

2022年2月20日(日)、2021-2022年度第3回(通算67回)中国・四国地区研究会「AfterコロナのSD ~コロナ禍でのオンライン研修の検証を通じて」をオンラインにて開催した。全国各地から64名の大学教職員等が参加した。

コロナ禍において、全国の多くの高等教育機関、コンソーシアム等がオンライン研修を実施し、Afterコロナの社会においても、時間や場所に拘束されないオンライン研修の活用が予想されている。そうした中、今回の研究会では、四国の35高等教育機関が連携してSD・FD研修を実施する「四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)」の事例から、オンライン研修の有用性を定量的・定性的に検証し、その工夫、成果、課題を共有することで、これから迎えるAfterコロナ時代のSD活動に活かすことを意図した。

第1部では、SPODから7名の発表者が、「何があっても『学びを止めない』職員の育成について」をテーマに事例発表を行った。

まず、ネットワーク運営を中心となって担う愛媛大学から、SD統括コーディネーター/能力開発室長吉田一惠氏が事例発表の目的等を説明し、続いて教育学生支援部教育企画課副課長石川尚氏が、コロナ禍での運営について発表を行った。対面研修が困難となり、一部研修を中止しつつも、職階別研修や初任者研修、集中型年次研修としてのSPODフォーラムをオンライン研修に移行していった経緯、困難にどう対応していったかが報告された。SPODフォーラム2021の幹事校であった高知大学学務部学務課専門員吉岡瞳氏からは、コロナ前後のフォーラム参加者の分析、懇親会をオンライン実施するにあたって活用したツールの紹介等がなされた。

続いて、オンライン研修で講師を担当した立場から、愛媛大学教育学生支援部教育支援課副課長砂田寛雅氏、同農学部事務課副課長大塚陽介氏、高知工科大学総務部人事課長森晃彦氏、高知大学総務部長末本美千代氏、愛媛大学吉田一惠氏の5名が、発表を行った。オンライン研修実施にあたって特に課題となっていた個人・グループワークを、ツールの活用や運営の工夫により、いかに対面研修での効果に近づける形で実施したか、その成果、課題、気づき等に関する報告が行われた。実際に使用したツールを、研究会参加者自身が体験する機会ももつことができた。

最後に、愛媛大学吉田一惠氏から、コロナ前後のSPODフォーラム参加者アンケート、オンライン研修担当講師アンケートの分析結果が紹介され、今後の課題として、ハイブリッド型研修においては研修目的・対象者に合った研修を企画すること、講師はツールに関する知識、体験を積む必要があること、オンライン研修を担える講師育成も必要であること、受講する側としては使用ツールに関する事前準備や受講環境の整備が必要であること、などが挙げられた。

第2部では、香川大学大学教育基盤センター能力開発部長石井知彦教授から、「特に職員が職員に行うオンライン研修の際に研修効果をあげるための手法」をテーマにご講演をいただいた。Zoomを基本に、対面研修に劣らない効果をオンライン研修においてあげるための心構え、環境・ハード上の工夫、運用上のテクニック、他のソフトを用いた高度な利用法に関する紹介がなされたが、まさに対面と同じ熱が伝わる講演であった。オンライン研修にあたっては講師側も参加者側も、意図的に強めの表現・反応を行うことが重要であることを改めて実感した。閉会後には、「オンライン懇親会に使えるツール体験」として、Spatial Chat、Remo、Gather.Townを、順次体験する機会をもった。

全体を通じ、様々な工夫・努力により、対面に匹敵する満足度をオンライン研修においても得ることが可能であること、一方で、人的ネットワークづくりに関しては、やはり対面研修に勝る効果をあげる術が未だ得られていないことを認識した。

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