(関東地区研究会)2020年度 第1回関東地区研究会 開催報告

宮澤文玄
2020/08/30

■テーマ:「学修歴証明書デジタル化の世界的動向と日本の大学の課題」
■開催日時:2020年8月8日(土) 14時30分~16時15分オンライン(WebEx)でのライブ開催
■参加人数:申込者計117名(会員割合37.6%)中、地域別内訳(多い順):関東地区77名(65.8%)、近畿地区22名(18.8%)、中部・北陸地区6名(5.1%)、東北地区5名(4.3%)、九州・沖縄地区4名(3.4%)、北関東・信越地区1名(0.9%)、中国・四国地区1名(0.9%)、アメリカ1名(0.9%)

■概要
1. 開催経緯と実施概要
(開催の経緯)関東地区研究会では、これまで大学行政を巡る国際比較に関する研究会を開催してきた。前回は、JUAM初の公式オンライン研究会として一地域に留まらず日本全地区及び海外からの参加者が多く集まり高評を頂けた。

 今回のテーマは、そこから発展させ、今後もコロナ禍の中でニューノーマルの業務遂行に対応するよう国際比較の視座を持って今後の大学運営を担うため、オンラインと非常に親和性の高い、「学修歴証明書デジタル化」をテーマに国内外の最新情報を皆様に伝えることを目的に開催することとした。

このテーマは決して国際部門や情報系部門の課題だけではなく、広く教学部門、管理部門にも跨る現在の大学行政の課題となる。授業形態はもちろん、入試の出願や受験生面接、また企業の採用活動もデジタル化される中、遠からず変革の波が来る喫緊の話題として、本日の皆様の講演から今後の日本の大学運営を考える契機となればと願っての開催となった。

◆プログラム内容及び発表者
司会 :赤松茂利 (早稲田大学国際部国際課)
モデレーター:太田浩(一橋大学 全学共通教育センター 教授)
(1)本研究会の目的と概要(司会): 赤松茂利(早稲田大学国際部国際課)
(2)「ユネスコ東京規約と高等教育の資格認証の新潮流」
  : 芦沢真五(東洋大学 国際学部 教授)
(3)「外国学歴資格認証 (Foreign Credential Evaluation)から見た学修歴証明書デジタル化の必要性」
: 白石勝己(公益財団法人アジア学生文化協会 理事長)
(4)「学修歴証明書デジタル化の世界的動向」
  :太田 浩 (一橋大学 全学共通教育センター 教授)
(5)「学修歴証明書デジタル化の実証実験の概要」
:中崎孝一(公益財団法人未来工学研究所 主席研究員)
(6) 質疑応答

2.実施状況
(研究会概要)
 本件に第一線で携わる先生方より、それぞれ専門の立場より、デジタル化の歴史的背景、欧米各国やアジア近隣国との比較、今後の具体的な提案等について、大変な熱量をもってご講演いただいた。そのため、参加者も一地区研究会としては異例の117名という人数を集め、オンラインの特性を活かして関東地区のみならず、全国各地区からの参加者を集め活発な意見交換も行えた。

 日本は未だに印鑑文化が根強く『紙(原本)=真正、紙は神様』だが、諸外国では、すでに『デジタルこそ真正』であり、それがグローバルスタンダードになりつつある、という事実に驚きを隠せない参加者も多かった。
 また、オーストラリアの事例紹介も、同じ大学職員として大変興味深いものであった(オーストラリアでは職員有志が火付け役となりデジタル化が実現した)。参加者の属性は多岐に及んでいたが、それぞれの立場で、「学習歴証明書のデジタル化の必要性」について、我が事として具体的に考察する機会となったと考えている。

 事後アンケートには、「ぎゅっと情報の詰まった有意義な機会だった」「日本の遅れにショックを受けた」「海外派遣・受け入れをする大学等にとって、避けられない課題と認識した」といった声が寄せられている。
 今後も、関東地区研究会では、高等教育を支える実務者として、コロナ禍を契機とするニューノーマルに対応すべく、国際比較の視座を持って諸々の課題に着目していきたいと考えている。

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