2024年6月7日 第20回理事会
2024年度(2024年7月~2025年6月)事業計画
はじめに
日本の出生数の減少は止まらず、従前からの18歳を入学対象とする「ビジネスモデル」による大学の規模縮小は確定的となっている。国の政策としてリスキリングや留学生の拡大も打ち出されているものの、リスキリングは大学以外の教育機関との競合、留学生は諸外国との競合において 日本の大学が優位性を持つことには相当に高いハードルがある。
そのような厳しい環境の中で、日本の高等教育を維持しさらに充実させるために、大学アドミニストレータ人材の育成は重要な課題であり、JUAMもその目的に沿った活動を一層充実させる必要がある。そのような観点から、2024年度の事業計画案を下記の通りとする。
1.研究活動の活性化(次世代の育成に繋がる活動、実務家団体としての特色のある活動)
学会が業界に貢献するとともに会員の満足度を向上させ、また会員層の拡大を図るためには、会員による研究活動の活性化と質の向上が不可欠である。
特に、研究集会の開催と学会誌の発行は、全会員に直接的に還元する二大事業であり、また各研究会等の活動の集大成の場ともいえるものである。これらの事業について、学会であるとともに実務家団体である本学会の特色を明確にしつつさらに充実させることが、会の発展や継続に向けて極めて重要である。
以上のような観点から本項について以下の施策を掲げることとする。
(1)定期総会・研究集会等の開催を通じた会員層の拡大と次世代の育成【三役・各研究会】
(2)各研究会等での活動成果を集約するとともに、個人における事例報告等もより重視した研究集会の実施【研究・研修】
(3)学術的な論文のみならず、実務的な事例報告や調査等も重視した、実務家団体ならではの特色ある学会誌編集【学会誌編集】
(4)今後のJUAM「国際化」の進め方や体制についての検討【三役・国際】
(5)若手・女性の参加や研究会間の交流を促進するイベントへの支援による活性化【三役・各研究会】
2.社会への発信力の強化
SD(スタッフ・ディベロップメント)の義務化等により、大学の教職員が大学のアドミニストレーションについて学ぶ機運は高まっている一方で、学ぶ機会を提供するコミュニティーも目的別に細分化しながら増加傾向にある。
このような状況においても、本会の認知度や優位性を維持し、また活動内容を広く社会に還元することでその価値を高めるためには、前項で述べた研究活動の活性化とともに、その内容を積極的に発信することが必要である。また、本学会単独で発信することにとどまらず、文部科学省や、本学会と異なる特色を持つ他団体と連携することで、より発信効果が高まると同時に、会員の視野を広げることにもつながると考えられる。
以上のような観点から本項について以下の施策を掲げることとする。
(1)文部科学省、大学マネジメント研究会等の関連団体等との交流【TF】
(2)WASと連携したSDプログラムの開発、実施【TF】
(3)大学等への活動内容・成果の発信強化【広報・TF】
(4)SNS等の活用による積極的な情報発信【広報】
3.組織基盤の強化・安定化
本学会は2027年に創立30年を迎えるが、会員数は長期にわたる減少傾向にようやく歯止めがかかりつつある、という状況であり、充実した研究活動を継続するためには、規模の維持、拡大を意識した施策が必要である。
学会の創成期においては、強いリーダーシップを持ち、首都圏の大規模大学等に所属する会長、副会長などがリードし、認知度を上げ、組織の拡大を図ってきた。しかし昨今は大学の規模や地域による課題の違いも浮き彫りになり、学会の運営もトップダウンよりボトムアップが重要な局面へと変化している。 そのためには若手、女性など、さまざまな属性の会員が学会の組織運営に積極的に関与できる体制にしていくことが肝要である。
また、「専門職大学」が開設されたり、高大連携事業が注目を集める状況にも対応し、本学会を「大学」のみならず高等教育全体、あるいは中等教育も含めたより広いコミュニティーに拡大する方向性も模索したい。
財政については、会員数の確保とともに、広告や寄付による収入確保や支出の見直しも含め、学会費収入のみに依存しないより安定的な基盤を構築することが必要である。
以上のような観点から本項について以下の施策を掲げることとする。
(1)若手、女性の組織運営への参画促進を目指した組織運営への参画促進【三役】
(2)会員資格緩和の検討(専修学校、中高法人職員への拡大検討など)【組織】
(3)常設委員会(研究・研修、学会誌編集、国際、組織、広報)の運営方法の最適化【三役】
(4)DX等による事務局・委員会運営の円滑化および事務局校の業務軽減【事務局・三役・各委員会】
(5)30周年事業を見据えた安定的な財政基盤の確立【三役•事務局】