第82回九州・沖縄地区研究会 開催報告

日 時 : 2025(令和7)年7月5日(土) 14:00~17:30
会 場 : 福岡女学院大学  125周年記念館4階 第8会議室
テーマ:『大学職員を科学する~成長とやりがいのヒントはどこにある~』
参加者:26名

《内容》
【基調講演・グループワーク】 14:05~16:50
  「ホワイトカラー人材・組織マネジメントのポイントとは?」
     村山 孝道 氏(京都文教大学 総合社会学部実践社会学科 准教授)

 冒頭、村山氏より、「生まれ変わったらどんな仕事をしますか?」「もう一度、大学職員をしますか?」という二つの問いが投げかけられ、参加者は各グループ内でそれぞれの考えを披露した。その後、全体で共有したが、「もう一度、大学職員をする」という割合が過半数を割り、その回答の背景に何が潜んでいるのか気になるところであった。
 引き続き、講師は、ご自身の紹介を交えながら、所属大学における職員であった時代のキャリア形成について話を進められた。いずれの話題にも「学生の成長」が想いとして通底しており、如何に学生を主役として、主体的、自律的な成長に誘うか、ということを学生も教職員も参加する楽しいイベントなどを通じて、実践されていた。この辺りの心境を講師は、「仕事のようで遊びのような」「利他のようで自利のような」と表現されていたが、実に上手く言い当てた表現であった。
 その後は、今回の研究会テーマでもあった『大学職員を科学する』のとおり、様々な研究者の理論を引用しながら、大学職員の現状や実態について的確かつ科学的に解説を加えられた。官僚制組織のプラスとマイナス面、組織内で個人に求める3つの行動(①居続ける、②役割を果たす、③役割を越えた行動)、マネジメントにおけるモチベーション論の重要性等、様々な企業における取組事例等も引用しながら、大変かみ砕いた説明がなされた。特に、役割を越えた行動=プロアクティブ行動(個人が自分自身や環境に影響を及ぼすような先見的で未来志向かつ変革志向の行動)を導くために外的報酬、罰則や監視が効果的であるかという問いを示され、人事評価制度の機能性等について、深く再考する機会となった。
 職員としての経験に裏打ちされた人材・組織マネジメントに関する理論であるため、我々にとって胸にストンと落ちる講演内容であった。
「私たち大学人は、誰のために何をすべきか?」 究極の問いに、各々が立ち止まって考える機会となったのではないだろうか。

【リレー卓話】 17:00~17:25
「大学職員としての成長のきっかけ」
   本山 貴典 氏(学校法人福岡女学院 本部IR推進室長)

 基調講演につづき、リレー卓話第36走者として、本山氏が登壇された。福岡女学院看護大学の設置計画から申請に至るまでの学内外での様々なご苦労について、披露された。
 大学を新設する、という多くの大学人が経験できるものでない一大プロジェクトに対峙し、萎縮するのではなく、大いに発奮され、申請に係る知識を修得し、看護・医療系の教員や文部科学省の行政官等とも精力的に交流を深められたというお話は大変印象的であった。相当な重圧の中、無事、看護大学設置を果たした経験の中に、自身の成長があったというお話に触れ、まさに場所や機会が人を育てる、という言葉を噛みしめた。
「組織が新しいことにチャレンジすることにモチベーションを感じた」 組織の成長を願い、その達成に向け全身全霊を傾けられたその先に、自身の成長があった。 後生の育成が特に求められる時代、このようにプロアクティブな行動を呼び起こす組織風土を守っていきたい。

以 上

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