「働き方」研究会 第9回公開研究会 開催報告

■投稿者 :木村弘志 一橋大学
■開催日時:2025年11月3日(祝)15:00~17:30
■開催場所:ふれあい貸し会議室 秋葉原No51(JR秋葉原駅 徒歩3分)
■参加者数:23人

■企画趣旨
 本研究会は、主に「大学職員」という研究対象及び研究活動に興味・関心のある方々の相互支援の場とすることを目的として設立されました。具体的な活動としては、大学職員の「働き方」を研究テーマとし、その実態を、「共通性」「多様性」の 2 つの観点から調査・分析しております。我々は、このような、特定領域の大学職員の実態を把握するという、大学職員という研究対象にかかる「各論」「実証」を行ううえでは、大学職員という研究対象にかかる「総論」「理論」の知見を踏まえることが重要であると考えています。
 このたび、大学職員という研究対象にかかる「総論」「理論」について、長らく研究を重ねられてきた大学職員研究グループを草創期から支えられてきた方々をお招きして、それらの知見をご教授いただくとともに、そのうえで、これからどのように大学職員研究を発展させていくべきかについて議論する場を設けました。

■企画内容概要
まず、「働き方」研究会世話人の木村より、本研究会の意図として、「大学職員研究」の各論を進めてきた立場から見た、「大学職員研究」の総論の意義についての簡単な解説を行い、その後、大学職員研究グループを草創期から支えられてきた3名の講演者の方々からのお話をいただきました。倉敷芸術科学大学事務局長の山本様からは、同研究グループのこれまでの歴史と到達点、これからの大学職員論の「再構築」についてお話しいただきました。続いて梅光学院大学元副学長の各務様からは、大学職員として就職されたおよそ50年前の大学職員を取り巻く環境を共有いただき、併せて同研究グループによる初期の研究成果についてお話しいただきました。そして倉敷芸術科学大学学長の秦様からは、ご自身のキャリアに同研究グループでの活動やメンバーが与えてくれた影響と、今後の大学職員への期待についてお話しいただきました。
休憩をはさみ、あらためて「働き方」研究会世話人の木村より、学会誌20周年記念号の論考において大学職員研究グループが今後のテーマとして掲げた「職員業務」「専門性と専門職化」「教職協働」「研修としてのSD」「Job Description」に関連する実証研究を紹介し、その中で、どのように大学職員研究の総論が分析結果の解釈のために役立ったのか、また、実証研究を通じての各論から、大学職員研究の総論にどのようなフィードバックを期待できるかについて説明しました。最後に、参加者も含め、「大学職員研究の意義・対象範囲」「総論と各論の定義」などについても議論を深めました。
そして、講演者にもご参加いただいた終了後の懇親会では、時間内にできなかった質問などが参加者・講演者間で飛び交い、より大学職員について学術的・実践的に理解を深めることができました。

本研究会を通じて、今後の大学職員研究を推進していくうえで、「各論」「実証」的な研究を行いつつも、それらの研究から得られた知見を「総論」「理念」の観点から振り返り、それらの意義について問い直す機会を定期的に設けることが重要ではないか、という示唆を得ることができました。また、本研究会は、大学職員研究領域への学術的関心をお持ちの方だけでなく、大学職員の業務・能力の高度化への実践的関心をお持ちの方も、さまざまな示唆を得られる機会になったかと存じます。引き続き、大学職員という「対象」の理解を深めることを通じて、大学経営(研究・教育・社会貢献)の円滑化・高度化に貢献してまいりたいと思います。

なお、本研究会は、JSPS科研費25K17028の助成を受けて実施しました。

■参考:教育学術新聞 特集・連載 大学行政管理学会
-2-改革担う大学職員 大学行政管理学会の挑戦
「大学職員」研究グループ
“職員のあり方”追求 学長・理事長インタビューも実施
https://www.shidaikyo.or.jp/newspaper/rensai/gyouseikanri/2317-3-5.html

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