(中国・四国地区研究会)2023-2024年度第1回(通算71回)中国・四国地区研究会 開催報告

■投稿者 :浅野 健・所属:広島修道大学
■開催日時:2023年12月17日(日)14:00~16:40
■開催場所:広島経済大学 立町キャンパス 142教室
■参加人数:22名
■内容  :「なぜ私たちは多様で公平な組織を実現できないのか」
■概要  :2000年前後頃から日本において、少子高齢化により労働力人口の減少が懸念され始め、生産力向上や海外からの圧力も含めて「ダイバーシティ:多様性」という概念が本格的に検討されるようになった。また、大学も生き残りのために多様性が重要と認識し、ダイバーシティ・インクルージョン(D&I)やダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DE&I)という用語を用い、組織や社会において多様性を受容し、公平な視点で組織や社会を構成しようと試みるようになった。このことからも大学において「ダイバーシティ」という言葉が当たり前のように使われるようになり、学内にセンターを設置する大学も増えた。しかしながら、この試みが功を奏し、ダイバーシティが当たり前の組織や社会になっているとはあまり感じられず、このような意識がなぜ定着しないであろうかという疑問を呈するようになった。
このような観点から、学術的な視点で組織や社会におけるダイバーシティの現状と課題、そして将来への展望についての理解を深めるとともに、その事例として広島修道大学における女性活躍やこれからの職員経営参画への重要性等を学ぶために講師2人をお招きし、本研究会を開催した。参加者は22名であった。
まずは、組織におけるダイバーシティ・インクルージョンを研究されている、九州産業大学商学部准教授の脇夕希子氏に「ダイバーシティ・マネジメントを組織の中で取り入れるには?-組織の視点から必要な視角を考える-」と題して、ご講演いただいた。ダイバーシティとインクルージョンの言葉と概念の整理から始まり、ダイバーシティ・マネジメントの歴史や得られる効果、そして導入に向けたポイントについてわかりやすく解説していただき、これからの大学という組織風土においても重要な観点であることが説明された。また、九州産業大学のダイバーシティ推進室の取組についても言及があり、参加者にとって、所属大学における導入に向けた大きな布石の1つとなった。
次に、学校法人修道学園監査室長の種田奈美枝氏に、これまでの経験も交えながらご講演いただいた。広島修道大学職員の現況や同大学における女性職員活躍の背景等について説明もあり、多様な職員の活躍とキャリア形成について、多くの示唆を頂いた。特に、これからの大学職員としては、経営人材(経営マインドを持つ)の飛躍(経営参画)を期待し、それが大学(組織)の競争優位を創生するきっかけとなることが言明された。
各講演後には、質疑応答の時間を設け、来場者からの直接の声に応じた。そして、研究会の最後には、事例発表をしていただいた種田奈美枝氏が2023年度大学行政管理学会奨励賞を受賞されたことの報告があり、本研究会を終了した。

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