(近畿地区地区研究会主催、Manabie Japan合同会社/株式会社学び共催)「ポストコロナ/AI時代に大学職員が求められること」

■投稿者 :近畿地区研究会:立命館大学 澤田博昭
■開催日時:2023年6月24日(土) 10時~12時
■開催場所:オンライン形式(ZOOM Webinar)
■参加者数:105名
■講師:寺裏誠司氏(株式会社学び 代表取締役社長)、本間拓也氏(Manabie Japan合同会社CEO)

■タイムスケジュール:
10:00〜10:10 開会・挨拶
10:10〜10:50 講演(寺裏氏)
10:50〜11:45 講演(本間氏)
11:45〜11:55 質疑応答
11:55〜12:00 閉会・挨拶

■概要
 人口動態の変化が高等教育機関にいよいよ深刻な影響を及ぼし、一部の大学では残念ながら学生募集停止を決断せざるを得ない事態も見受けられます。同時に、GIGAスクールの拡大によりデジタル教育が一般化した学生たちを受け入れるため、大学の役割や職員の機能、人材確保の方針の再考が求められている。
 このような状況を受け、教育機関に携わる教職員が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の意義と活用方法を理解し、これらの課題に対応するためのセミナーを開催した。セミナーでは、海外の事例も取り入れながら、DXを通じて日々の業務で直面する課題解決の道筋を探ることとした。
 また、AIの進化による変化について、特にOpenAIのAIモデルである「ChatGPT」の影響についても深堀りすることした。そしてこれらの技術が大学の運営にどのように役立つか、また新たな課題と対策は何かを共有し、理解を深めることを目的として開催した。
 講演の中では、まず、高等教育機関の経営教育改革に特化した株式会社「学び」の代表取締役で、リクルートHDで24年間一貫して教育機関マーケットに関連する業務に従事し、文部科学省の各専門委員会委員を歴任された株式会社「学び」の代表取締役である寺裏誠司氏に講演をいただいた。寺裏氏からは、大学はいま5つの外圧(18歳人口の激減の外圧・オンライン学校の外圧・自動翻訳機進化による外圧・AIの進化による外圧・文科省の規制と今後の方針次第)に晒されているとの指摘がされ、大学の方針や教員意識・行動の二極化する中で、職員としてどう在るべきかが重要であるとの指摘がされた。また、大学では教育内容と教職員の役割のトランスフォーメーション(FX)が必要であり、それを進めるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性が強調された。そして、経営者・教職員の意識改革、行動改革を行い、過去の成功体験からの脱却した上で、連続線上の成長から非連続の成長志向をもって、学園内全教職員で一丸となった改革を推進・実行できるかが鍵であると報告を締め括られた。
 次に海外版スタディサプリ「Quipper」の創業メンバーで、現在はManabieで教育機関のDX化支援のため、グローバルな組織を率いて事業を展開しているManabie Japan 合同会社 CEOの本間 拓也氏の講演が行われた。本間氏の講演では、生成系A.I.に関わって、学習コンテンツの自動一括作成、AIチューター、自動採点&解説など、学習塾におけるChatGPT活用の事例について、実際のデモ動画を交えて紹介が行われ、また、教務/基幹システムのデータ連携への活用や経営データの見える化による経営改善、デジタル武装による生徒・保護者へのサービス向上が可能であるとの指摘が行われた。また、高等教育機関のDX化に関わって、「バックオフィス業務DX」が、「教育DX」を下支えしている構造にあること、教育DXの海外での先進事例が紹介され、オンラインでの授業プログラム・学位提供は既に当たり前になっており、AIの特性を踏まえ、今後は大学職員として求められるものが何になるかを見据えて今から動き出すことが必要で、過去のデータに基づかない、未来を見据えた新たな価値創造が重要であると締めくくられた。
 その後、参加者からの質問を踏まえ、寺裏氏と本間氏によるディスカッションが行われ、教職員の意識改革を行っていることの重要性が語られた。
 本企画では、大学をはじめとする高等教育機関を取り巻く「外圧」を理解するとともに、海外の教育機関や学習塾の具体的な先進例を理解することができた。また、それらの状況等を踏まえ、大学で生成系A.I.をどのように活かしていくのか、また、DXを下支えに大学や教職員のFXを実現し、過去の成功体験にとらわれない教職員の意識改革と行動の変容がいままさに迫られているとの認識を共有する機会となったと考える。

■参加者の意見(抜粋)およびアンケート結果
 参加者の意見(抜粋)は下記の通り。また、アンケート結果からも参加者に大変満足いただいた企画となった。
・まずは、大学が置かれている現状を大学構成員全員が理解することが必要だと感じた。
・AIやDXの今後の方向性について、参考となるお話でした。今後注目して、自らの教育機関がどうしていくのかということを学び続けなければならないと感じています。
・ChatGPTの話題はニュースでももちろん知っていましたが、世界の高等教育がここまで進展していることに驚きました。また、自大学も含め日本の高等教育がどれほど遅れているのかも知ることができました。
・生成AIのパワーとそれを活用している世界の教育を目の当たりにし、とても衝撃を受けました。講師が言っていたとおり、AIを「うまく使う」人材になりたいと感じています。
・最新情報、最新技術への柔軟な対応や変化は、すべての業界で突きつけられていると感じました。その一方、求められている人材は変わらずしなやかさを有している人物だと思います。

(アンケート結果)
回答率     :71.4%(70名/98名(主催者除く))
大変満足している:60.0%
概ね満足している:38.6%
どちらでもない :1.4%
少し不満である :0%
大変不満である :0%

以上

■近畿地区研究会:代表世話人/立命館大学 澤田博昭

  • URLをコピーしました!