(近畿地区地区研究会主催)「Create a culture of innovation~イノベーションの文化を創ろう:高等教育の選択肢、グローバルスタンダード、個別最適化などケースを紹介しながら~」

■投稿者 :近畿地区研究会:学校法人関西学院 大森則良*
■開催日時:2023年6月10日(土) 10時~16時
■開催場所:関西学院千里国際キャンパス(大阪府箕面市)
■参加者数:29名
■講師:萩原伸郎氏(関西学院千里国際中等部高等部校長)

◆タイムスケジュール:
10:00~10:10 開会・挨拶
10:10~12:10 VUCA and Mindset(講義+ワークショップ)
12:10~13:40 休憩(昼食・学校見学)
13:40~15:40 Make a difference(講義+ワークショップ)
15:40~16:00 まとめ・閉会・挨拶

■概要
 少子高齢化、大学全入、教育のグローバル化/GIGAスクール構想、中高の新学習指導要領改訂、VUCA時代の中、急速に教育現場の変革(innovation)が求められる今、私たちは様々な障壁やジレンマと衝突しながら、思うように進まない状況に陥ることも少なくない。しかし多くの大学や教育機関が抱える悩みや課題の本質は同じであり、現場の教職員は知恵を絞るが成果は限定的な改善で収まりがちではないか。この研究会では約30年間海外での教員生活を通し、教育現場の変革を実践、成果をあげてきた現職中学/高校校長を講師に招き、普段の研究会とは異なる趣向、ワークショップ形式でイノベーションに繋げるプロセスを学んだ。当日は現職高校教諭も複数参加され、大学職員、教育関係者、現職教諭と多彩な顔ぶれでワークショップが活発に行われた。

 前半はVUCAとVUCA Primeのフレームワークの解説を中心にワークショップが展開された。萩原校長はVUCA Prime(「Vision(ビジョン)」「Understanding(理解)」「Clarity(明快さ)」「Agility(機敏さ)」)のアプローチがinnovativeに繋がること、また教育現場はreactiveなことの繰り返しに陥りがちだが、proactiveに物事を考えているかがポイントになると解説。海外の入試施策や高等教育の現状にも触れ、日本の高等教育施策の課題にも言及された。
 後半では、innovationを起こすプロセスについてワークを行いながら学ぶ時間となった。校長曰く、innovationは、普段意識にない出来事やアイデアを思い浮かべることができる「想像」から、課題に取り組むための想像を働かせる「創造」へのプロセスをへて、イノベーションへ繋げるものであること、そしてアントレプレナーシップにも発展していくと説明がなされた。
 最後に「GoodはGreatの最大の敵」という下りに触れ、多くの大学や教育現場は「Good」なものであふれていることにこそ、本当のイノベーションが進まない最大の課題であると締めくくった。

参加者の主な意見は次の通り。
・萩原先生の落ち着いた深みのあるお話に引き込まれつつ、思考の連続でとても幸せな時間でした。
・自分では変えることのできない枠組みに囚われるのではなく、自分で変えられることにフォーカスして自由な発想で考えることを実感させていただきました。
・Hands onのアクティビティがあり、聞くだけではなく、聞いた内容を実践することができ、より「学んだ」と感じることができました。
・コロナ禍を経て、世の中や学生の価値観が大きく変化する中、私自身がキャッチアップできていないのかもということを強く感じた貴重な1日でした。特定の高等教育のテーマによらず「課題に取り組む姿勢や考えかたを学ぶ」機会も定期的に必要であると思いました。

■近畿地区研究会:世話人/学校法人関西学院 大森則良

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