(関東地区研究会主催)2022‐2023年度第2回関東地区研究会 「日韓両国の大学教授の講演から、大学について考える」

■投稿者 :関東地区研究会:学校法人学習院 宮澤文玄
■開催日時:2023年3月30日(木) 18時30分~20時00分
■開催場所:オンライン(Zoomミーティング)
■申込人数:15名
■発表者
宮澤文玄(学習院)、松尾隆(成蹊大学)、円谷恵(ICU、東京家政学院)、石田若菜(文京学院大学)、増田麻由香(関西大学)、久志敦男(龍谷大学)、篠﨑裕二(APU)

◆タイムスケジュール:
18:20~18:30 入室・受付
18:30~18:35 開会
18:35~19:45 発表 
19:45~20:00 意見交換
20:00  閉会

■概要
 関東地区研究会では、これまでも大学行政の国際化や、海外事例への関心を高めるための研究会を数多く開催してきました。その関係からJUAMでの研究成果を本務で発展させるよう、当研究会代表所属大学の主催行事として、2月21日韓国の大学教授による講演会を開催し、学術的な内容ではありましたが、JUAMやJAFSAからも多くの大学職員の皆様にお越しいただきました。
 その中で、討論者として登壇した国際政治を専門とする日本側の教授より、日韓大学比較の観点から日本が立ち遅れている点の指摘があり、韓国側の教授や参加者を交えた活発な意見交換がなされました。

 そこで、当日は時間も限られて主題も異なっていたため、改めて日本と韓国における大学を主対象とするスピンオフの研究会を開催することといたしました。
 2月の講演時では、韓国のジョブ型雇用、大学生の就職問題、雇用制度の多様化、法律での退職金制度の廃止、テニュアの問題、インパクトファクターを用いた教員の評価制度、職員の位置づけなど多岐にわたりました。

 その際の両国教員からの意見も踏まえて、我々大学職員がどのように捉えて実践に繋げるのかを、これに参加した職員からそれぞれの感想や意見を出し合い、新たな知見を見出すことを目指し、教員と職員、日本と韓国など学内外の「共生学」を確立することで「イコール・パートナー」として、今後の大学職員の新たな位置づけについて示唆を得ることを今回の研究会の目的としました。
 こうした課題をもとに、下記のとおり各テーマに沿って発表がされました。

(1)宮澤(学習院):
 本研究会の目的とこれに向けた日韓大学比較の検証を多岐に亘り検証し、両国の大学組織の構造と管理運営の過程を踏まえて分析を行った。
(2)松尾(成蹊大学):
 学生時代の留学生会の経験から、80年代から現在までの時代背景を理解した上で、留学生と接することの重要性について述べた。
(3)円谷(ICU、東京家政学院):
 韓国の大学の意思決定の早さ、寄付文化等、日本の大学の積み上げ式の組織との比較、これら課題はありながらも新しい学生間交流の可能性に光明を見出した。
(4)石田(文京学院大学):
 韓国の平生教育と日本の生涯学習の比較を通じて、少子高齢化は同じ中でも、高齢者や社会人も取り込める韓国の体制を統計で示した。
(5)増田(関西大学):
 韓国の語学堂と日本の別科の比較を通じ、留学生獲得、課程の位置付けなど、その土台や戦略の違いについて自身の留学経験も踏まえて検証をした。
(6)久志(龍谷大学):
 TOEICやJDの日韓比較を始め、財閥などの産業構造の違いなどマクロ分析も踏まえ、大学職員の働き方や大学の存在意義においても個別大学の人事制度に係る事例を挙げた。
(7)篠﨑裕二(APU):
 APUと韓国との関りやFIRST Programの位置付けなどを述べたのち、漢陽大学にてヒアリング調査を行った結果を発表し、日本との差異について考察を行った。

 最後に、関東国際高校の黒澤副校長より、本研究会の総括がなされ、様々な観点から日韓の高等教育の比較ができて有意義であったことの講評と、これら日本の大学の課題に対してどのように我々教職員が尽力していくべきかの期待が述べられた。

■関東地区研究会:代表者/学校法人学習院 宮澤文玄

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