会員との「対話」から活動の再構築を図る

■投稿者
大学行政管理学会会長 法政大学 金田 淳一

あけましておめでとうございます。年頭にあたり、本年が会員諸氏とその大学にとりまして、良き一年となりますよう祈念申し上げます。
さて、昨年は大学行政管理学会にとり、というより全世界にとって激動の年となりました。新型コロナウイルスが年当初より発生し、それが全世界に蔓延する状況となっています。一時は落着くかに見えましたが、昨秋以来感染者の増加が始まり、日本での感染者も1月11日現在、30万人に迫り、死者は4,100人に及んでいます。4月には全国に緊急事態宣言が発出され、店舗の営業短縮、外出自粛が求められました。ワクチンの接種もまだわが国ではこれからであり、先の見えない不安の状況がずっと続いています。さらに今月8日から一都三県に再び緊急事態宣言が発出され、混迷を深めています。
このような現況で皆様の大学も授業の実施を巡って、対面式からオンライン方式へ切り替えることを余儀なくされ、試行錯誤の日々を過ごされたことと推察いたします。学生に対して、通信機器やパソコンの貸与、緊急奨学金の支給といった支援、さらに対面授業の復活に備えた、ハイフレックス授業機器(対面授業を行いながら、同時にオンライン配信を行う装置)の導入や教室内の机へのアクリル板設置など、対応は広範囲に及びます。文科省からは対面授業を可能な限り増やすよう指示を受け、大規模大学を中心に感染のクラスター発生のリスクを意識しながら、どのように対処されるか、苦慮されているのではないでしょうか。また、授業だけに留まらず、サークル活動など課外活動をいかに保障していくか、大きな課題と思われます。
上述を受けて大学行政管理学会は何をなすべきでしょうか。まずは「学びと励ましのネットワーク」の構築を実践していくことかと思います。コロナ禍において従来の対面式の研究集会や研究会・研究グループといった実施が困難となりました。いろいろな方と出会い名刺交換し、さらに懇親会で人となりを理解し、今後の付き合いを深めるきっかけをつくる。そんなことが当面無理になってしまいました。当方もそのような出会いを通じて尊敬できる先輩・後輩を得てきました。しかし、今はそんなことを言っている場合ではありません。与えられた範囲で、できる事を最大限実行することしかありません。それはオンラインの活用です。周りの方々の反応がわからないなどのデメリットはありますが、まずは数多く経験してみることが肝要です。
各地区・テーマ別研究会をオンラインで行うことが少しずつ定着してきました。オンライン研究会で若手・中堅職員の発表を聴く場面も増えてきました。その時、現在の職場を、これからの大学を真剣に考えている姿に胸を打たれます。
私たち三役(会長、副会長、事務局長)も皆さんの動きに刺激されて、少しずつ動き始めています。まず学会を支える5つの常設委員会(国際、広報、組織、研究・研修、学会誌編集)の代表者とのオンライン懇談を始めました。まずは委員会の実情、問題点等を共有し、直ぐできることはスピード感を持って、重い課題は時間をかけ段階を踏んで解決することを考えています。また同時に、各地区の研究会代表者との懇談も行いつつあります。
これらの行動の根底にあるのは、「対話」の重要性です。今回のコロナ禍で各自の移動が困難なときこそ、オンラインでの対話を重視し実行していく所存です。対話から得られた相互の信頼感から、今後の施策を考え、一つずつ実現に移していきます。
私たちにとって必要なことは、アドミニストレーターの育成・確立を目指すという目標をしっかり見定めつつ、まず足元を見つめ、固めながら一歩一歩進んでいくことでしょうか。本年をそのための一歩を踏み出す年にしたいと念願しています。会員皆様のご理解・ご支援を切にお願いする次第です。

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