西國真一
2020/10/16
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2020年9月19日(土)、2020-2021年度第1回(通算62回)中国・四国地区研究会(共催:教育ネットワーク中国)「教学マネジメント指針について考える」を開催した。このたびは、本研究会初のコロナ禍におけるオンラインによる実施となり、遠くは北海道から96名の参加があった。
本年1月に答申された「教学マネジメント指針」をテーマに、「教育の質保証と教学マネジメント」と題して、立命館大学 沖 裕貴教授からの講演、続いて事例紹介として「山口大学における教学マネジメントの現状と課題」と題して山口大学 林 透准教授からの事例発表、その後両講師による質疑応答、意見交換という流れで進行した。
教学マネジメント特別委員会のメンバーでもあった沖教授から、作成に携わった担当者の生の声を交えて、具体的にわかりやすく講演していただいた。特に「教学マネジメント指針」は、学修者本位の教育という目標に向けて、取り組むための具体的な基準を示したものであるが、必ずしもそのまま従う「マニュアル」であることは意図していない。多様な大学に共通する内容を中心に、わかりやすい形で示し、それら取り組みの促進に主眼を置くものである。また、省令改正(設置基準の改正)や大学ポートレートを利用した情報公開の足掛かりとなる指針となっているとのことであった。
「教学マネジメント指針」の骨子となる5つの項目【Ⅰ「三つの方針」を通じた学修目標の具体化、Ⅱ授業科目・教育課程の編成・実施、Ⅲ学修成果・教育成果の把握・可視化、Ⅳ教学マネジメントを支える基盤(FD・SDの高度化、教学IR体制の確立)、Ⅴ情報公開】について、学びを深めることができた。
続いて、林准教授から、山口大学での教学マネジメントの現状と課題について、実施例を交えて事例紹介していただいた。林准教授は、2000年以降の答申や大学評価基準をまとめ、教学マネジメント指針との関係性を明らかにし、学位プログラムの点検・評価の関係性、教学IR、FD・SDとの関係を整理して話された。また、指針に照らし合わせて、既存の教学IRを見直して実施することで(何の?)効果を高めることができる。人材育成の観点からの実務家教員への研修の方向性や2040年を迎えることへの危機感によってなかなか行動できていない大学に対して、実施例を示しながら、今回の指針を交えてわかりやすく紹介された。
最後の質疑応答は、オンラインならではのチャットにて行い、非常に有意義な研究会となった。