2017.3.11 第1回(通算60回) 理事会
2017年度(2017年4月~2018年6月)事業計画
はじめに
2017年度事業計画は、一般社団法人移行最初の事業計画となる。事業年度は当年7月~翌年6月となるが、最初の年度は2017年4月~6月が変則的となるため、2017年7月~2018年6月の計画を含むものとして策定する。また、2017年7月以降の事業計画を3月に議決することは時期的にみてやや早いが、理事会運営の都合上、従前どおり3月理事会において議決することとし、それ以降に生じる必要な修正は、常務理事会で対処する。
<大学をめぐる環境変化>
「大学のガバナンス改革」の脈絡のなかで提起されている2017年度からの「SDの義務化」を受け止め、JUAMの取り組みを大きく広げる契機とする。同時に引き続く論点となっている「専門職職員」「事務組織のあり方」についても、JUAMの取り組みのなかに活かしていく。
「高大接続システム改革」で提起されていることは、入試という狭い枠組みとしてとらえるのではなく、大学教育のあり方、高校教育のあり方、それらをつなぐ大学入学者選抜のあり方として捉える必要がある。大学のあり方についても大きな影響を及ぼす課題であり、政策動向の注視と、JUAMとしての課題認識の深化が必要である。
私学のあり方検討が進行するなかで、大学経営の厳しさが一層浮上することが予想される。JUAMとしても厳しい時代の大学経営を担い得る人材像を描き出す必要がある。こうした状況下でJUAMが高等教育界の人材バンク的機能を担うべきという意見もあり、今日にふさわしい活動のひとつとして検討する。
専門職業大学の検討など、大学の価値をあらためて問い直す動きへの対応が必要である。また学生生活の実態からみた大学のあり方も本格的に検討しなければならない。
これらにとどまらず、大学は転換点に立っていると言っても過言ではない。ICTやMOOCなど、現行の大学教育・大学運営の延長線上で捉えられない状況に直面し、職員業務にも大きなインパクトを与える可能性がある。そのとき、職員の役割はどのように変化するのか、20周年を迎えたJUAMとして、現実に直面する大学運営諸課題に対応しつつも、次の10年、20年を見越した職員業務のありようを描き始めることが必要になっている。
実践を理論に、理論を実践に活かすことを大切にしてきたJUAMとして、今後はこの考え方を高等教育政策や各大学の改革・中長期計画などにも活かしていくことが求められる。つまり実践を理論化することに留まらず、政策に活かすことが、今日求められている。
<重点課題>
1.2016年度課題を継承しつつ、総会等でも指摘されているように、学会としての研究活動、研鑽活動の活性化に取り組む。従来型のテーマおよび
地区を軸とした研究活動以外の新たな研究スタイルにも柔軟に対応していくことも検討課題とする。
2.残された20周年事業を完遂する年とする。またこの2年間の事業展開を今後に生かす方策・手だてを検討・遂行する年とする。
3.2016年度に重点課題として置いた4点を、引き続き重点に掲げる。
(1) | 研究会の活性化 |
・ | 学会の基盤は研究会、研究グループの取り組み。 |
・ | 研究テーマもウイングを広げ、今日の大学像、大学行政管理のあり方を捉えなおす。 |
・ | 研究成果をつくりあげ、集積していくことで、その存在価値を高めていく。 |
(2) | 女性職員の活躍を進めること |
・ | 大学職員の半数は女性、職員職場は女性が多く活躍する―女性会員の一層の拡大。 |
・ | 女性活躍推進法の成立―これをJUAM自身が実践していく。 |
(3) | 若手職員の育成と激励 |
・ | 厳しい環境にあるからこそ、若手はそれをエネルギーに転化することが大切、それをベテラン層が応援するしくみ。 |
・ | 若手職員間交流の促進と会員の一層の拡大。 |
(4) | グローバル化への対応 |
・ | 研究者がそうであるように、世界の大学職員、同業者と切磋琢磨することが必要。 |
・ | グローバルな視点はJUAM創設時以来の伝統でもあり、これらを発展させていく。 |
・ | これまで連携・交流のあるAUA,KAUA、KAIEのほか、海外の諸団体との連携を進めるとともに、その内実について政策化し 方針をもつ。 |
4.一般社団法人への移行を果たす年となり、適正で安定的な学会運営を目指す。
(1) | 一般社団法人のルールに則った会計処理をはじめ、適正な学会運営の基礎をつくる。 |
(2) | 事務局体制の安定化を図る。 |
(3) | 広報委員会設置を契機として、学会活動の「見える」化を図る。 |
(4) | 第12期役員を選出し、学会運営体制を継承・発展させる基盤をつくる。 |
<2017年度事業計画>
(1)執行を残している20周年記念事業の執行
20周年記念事業実行委員会のもとで計画された取り組みのうち、未実施のものに取り組み、計画を達成する。
① | 各地区において、各地区別研究会との連携で開催した記念企画を踏まえて、そのまとめとなる記念企画を7月に実施することを検討する。 |
② | 通常号に加えて、学会誌の記念号発刊を行う。 |
③ | 海外研修の機会の少ない、若手等の会員を対象とした海外研修視察企画の実施。 |
④ | 研究データベースの活性化とホームページ更新など広報機能の強化(継続)。 |
⑤ | 学会叢書発刊は中期的課題として、引き続き具体化を検討する。 |
⑥ | 学会の重点課題に対応した取り組みは必要に応じて取り込んでいくこととする。 |
(2)法人格取得後の取り組みの安定
・ | 2016年9月総会の定款議決を踏まえて、一般社団法人化に関する手続を進め、必要な規約改正、会計基準の見直し、総会や役員などの位置づけや 役割等の見直し作業を行い、組織の安定的運営を確保する。 |
(3)新たな報奨制度(JUAM奨励賞)の適切な運用
・ | 運用初年度の実績を踏まえ、JUAMの活動の活性化に寄与するとともに、運用を重ねるなかで、報奨の基準を整理する。 |
(4)研究活動の一層の発展
① | 研究会数、研究会開催数、研究会参加者数の拡大 |
② | 研究集会での発表数、発表者数の拡大 |
③ | 学会誌への投稿数、掲載数の拡大 |
④ | 研究会活性化のための研究会運営補助費の弾力的運用-2009年度の判断を踏まえて |
⑤ | 研究成果のデータベースへの投稿拡大 |
⑥ | 研究活動に資するための文献情報の提供 |
⑦ | 地区研究会・研究グループ間の連携、交流の活性化 |
⑧ | 新たな研究活性化方策の検討とそれにふさわしい制度整備 |
(5)学会としての社会に対する提言力の強化
・ | 社会に対する提言力強化のためのチームが発足し、「大学ガバナンス」を基軸とした議論が開始されており、これらの取り組みを継続する。 |
(6)会員の拡大と育成
① | 会員数の拡大(2016年:約1400名)→1600名(全国大学職員の2%)に。 |
② | 会員の所属校数(2016年:約350校)→390校(大学の半数)に。 |
③ | 大学に対する理解の拡大-学会費の大学支援(補助)など。 |
(7)高等教育関連団体との連携・協力の促進
・ | 領域の近い学会(高等教育学会、大学教育学会など)との連携。 |
・ | プロフェッショナル職員を育成する大学院等との連携・協力。 |
(8)広報体制の整備充実
・ | ホームページ充実、研究データベースの活性化、20周年事業広報に取り組む。 |
・ | ホームページでの英語による情報発信検討。 |
(9)運営体制の整備と活動基盤の充実
・ | 三役のイニシアチブの強化-日常的な取り組みは三役および各委員会で。 |
・ | 常務理事会の充実-審議・懇談事項の重視による学会の展開方向検討、共有。 |
・ | 理事の各委員会への参画強化。 |
・ | 学会の各種会員制度のいっそうの活用。 |
・ | 研究活動の活性化を軸とした予算編成とするためにも、運営に要する経費のいっそうの節約・削減を進める。 |
<理事会・常務理事会の開催予定>
・ | 理事会、常務理事会ともに原則として事務局長校で開催。ただし2017年9月分は総会・研究集会会場校(西南学院大学)で実施予定。 |
・ | このほか、年間1~2回程度は、常務理事校において開催し、地区研究会等との開催を重ね、役員が地区研究会に参加する機会をつくる。 |
・ | 理事会 2017年9月、2018年5月(ないし6月)を予定。 これまで理事会は9月および3月としてきたが、事業年度の変更を踏まえ、会議暦の見直しを行う。 |
・ | 常務理事会 2017年5月、7月、9月、12月、2018年3月、5月(ないし6月)を予定。 事業計画や予算策定が2~3か月後ろにずれることから、これまで11月および1月に実施してきた常務理事会をまとめて12月に実施し、総回数を 5回に減じる。 |
<第21回定期総会・研究集会会場校>
・ | 2017年9月2日(土)~3日(日)西南学院大学 |