2018年度事業計画

2018.6.30 第5回理事会

2018年度(2018年7月〜2019年6月:第3期)事業計画

はじめに

高等教育機関とりわけ私立大学を取り巻く環境は、少子化、グローバル化、ICT化等の進展により大学間競争が一層激化し、厳しさを増してきている。さらに「今後の高等教育将来像に向けた論点整理」(中央教育審議会大学分科会将来構想部会2017年12月28日)において、「学術研究や教育の発展(学際的・学融合的な研究、文理融合的な教育)」、「第4次産業革命・Society5.0(『AI×○○※』分野を超えた専門知・技能の組み合わせ)」、「人生100年世代(多様な年齢層の学生)」、「地方創生(地方の産業の生産性向上、高付加価値化)」等を踏まえ、「高等教育における人材育成」、「高等教育機関の教育研究体制」、「18歳人口の減少を踏まえた大学の規模や地域配置」、「教育の質の保証と情報公開」といった将来的な様々な課題等に対し、「多様性」をキーワードとし高等教育機関として社会的役割、責任を果たすべく主体的に大学改革を行うことへの要請、迅速な対応が一層求められている。
 こうした社会の大きな変化に対し、大学職員はいかに対応していかなければならないか。まさにJUAMの設立趣旨である「プロフェッショナルとしての大学行政管理職員の確立を目指して、まずは『大学行政・管理』の多様な領域を理論的かつ実践的に研究することを通して、全国の大学横断的な『職員』相互の啓発と研鑽を深めるための専門組織」を通じて会員個々の研鑽や会員相互の連携により専門性を高め、様々な課題に向き合っていくことが肝要である。
 前期執行部の尽力により創立20周年を機にJUAMを一般社団法人化し組織基盤を強化していただいた。一般社団法人化を機に、文部科学省から「教職協働」に関する調査事業への協力要請があったことは社会からの認知、評価が高まってきたことの証左といえる。第12期の執行部は、これまでの事業を継承しつつも前期執行部から引き継がれた新たな課題に対し、積極的かつ真摯に取り組んでいく。

<重点課題>

 2017年度は、20周年事業を完遂し、法人化への移行を完了した年であった。2018年度は30周年に向け、学会のさらなる基盤強化および各種活動の活性化を進める第一歩としたい。ついては、次の4項目を重点課題とし、一丸となって取り組む。

1.研究会・研究グループ等の活動の活性化
地区研究会、テーマ別研究会等の持続的運営における課題について情報交換等を踏まえ共有し、その活性化策を検討し、実施する。
2.若手・女性の活躍を支援
各研究会からの推薦、自薦等を踏まえ、様々な若手、女性の活躍の場(シンポジウム等のパネリスト等)を設けるなど、積極的な学会活動を行える状況を整備する。
3.社会への発信力の強化
JUAMの一般社団法人化を機に、その名に相応しい社会活動に努め、社会からの期待に応えるとともに厚い信頼を得ていかなければならない。本学会の社会における存在価値を高めていくために、社会への発信力を高めていく。具体的には、時宜を得た特別シンポジウムの開催、文部科学省等の関係省庁・機関との連携強化、研究会活動のプレスリリースなどに取り組む。
4.組織基盤の強化
組織基盤を強化するため、会員の拡大策について、現状を分析し、きめ細かな会員募集活動策を検討し、実施する。
一般社団法人化により、各種規程等との整合性を検証し、ルールが不明確な事項については、規定化、ルール化を行い、組織運営の安定化を図る。
また、現状の収支状況に鑑み、2018年度予算から経費削減を実施する。

<2018 年度事業計画>

重点項目1:研究会・研究グループ等の活動の活性化

(1)持続的運営における課題への対処
地区研究会、テーマ別研究会等の持続的かつ発展的運営を行うための課題を共有するため、役員と世話人等とのミーティングを実施し、実情を把握し活性化策を検討する。また、地区研究会、テーマ別研究会等の円滑な運営を図るため、運営費用の状況等を把握し、適正な執行ルールを策定する。
(2)研究会活動の活性化策の検討と実施
学会員の研究論文作成や研究発表への挑戦を促進する。そのために、論文作成のガイドラインや研究発表の留意点などの役立つ情報を JUAM ウェブサイトの会員専用ページに掲載することについて、広報委員会、研究・研修委員会、学会誌編集委員会の連携・協力のもと検討し実施する。
(3)JUAM 奨励賞の定着
会員の地道な研究活動を顕彰するため、「JUAM 奨励賞規程」にある授与対象要件の周知や推薦者の推薦理由を明確化(具体的な貢献内容等)する。
JUAM の会報、ウェブサイト等で徹底したアナウンスを図る。

重点項目2:若手・女性の活躍を支援

(1)海外派遣等の慫慂
グローバル化のさらなる進展を踏まえ、若手を中心に積極的に参加できる環境を整える。会員の所属大学に対し、参加を促していただくよう依頼する。
(2)若手研究奨励の積極的応募の慫慂
若手研究者が所属する各研究会・研究グループ等から推薦を募るなど、新たな応募方法を検討し、新たな活動の場を設ける。
(3)他機関との連携とグローバル化への参画を奨励
国際的な連携に関する方針について、国際委員会で整理されていることから、これにもとづく具体的な連携を検討する。

重点項目3:社会への発信力の強化

(1)特別シンポジウムの開催
中央教育審議会の審議動向および今後の各大学における中長期計画策定・実行の重要性に鑑み、「大学における将来構想をともに考える」(仮題)の全体テーマのもと、特別シンポジウムを全国複数会場で開催する。地区別研究会に開催希望を募り、諸条件を総合的に勘案したうえで開催地を決定する。
(2)文部科学省等の関係省庁・機関との連携強化
一般社団法人化を機に、文部科学省から「教職協働」に関する調査事業への協力要請があり、本学会員が調査事業のアドバイザー的役割を担った実績もある。今後、法人格を有したことにより、高等教育に関する調査委託事業への参画要請が想定されるため、本学会がシンクタンク的な機能を果たすことを含め、その積極的な対応に向けて検討を行う。また、文部科学省等をはじめとする関係省庁、機関との連携をさらに強化する。
(3)プレスリリースの推進およびウェブサイトの活用促進
JUAM 創立以来、多くの会員の尽力と活発な研究活動により、今日の一般社団法人化に至るまでに発展を遂げてきた。しかしながら、その諸活動について社会に対し十分な情報発信がなされてきたとは言い難い。2017年12月の常務理事会の決定を受けて、プレスリリースによる情報発信を推進した結果、複数の地区研究会の活動が新聞に掲載されるなどマスコミからの反応が出てきている。これをさらに推進していく。併せて、ウェブサイトでの情報発信の周知徹底およびウェブサイトの充実、さらに研究データベースの活用促進を進めていく。

重点項目4:組織基盤の強化

(1)会員拡大の取り組み(特に若手・女性)
会員数および学校数の拡大を目指し、現状を再確認し、その分析等について組織委員会に諮問するとともに、併せて大学改革研究会に依頼する。
また、JUAM正会員がいる大学への学会活動への配慮、入会推奨依頼の実施と正会員がいない大学等への入会依頼を実施する。
SD の義務化に対応する大学教員のJUAM 活動との連携検討(教職協働の見える化)JUAM 活動の理解発展のための各大学の理事長、学長、教授等の会員加入活動を展開する。
(2)新しい役員体制の検討
現状を再確認し、一般社団法人に相応しいガバナンス体制を構築するため、組織委員会へ諮問し、答申を踏まえ常務理事会で審議する。
(3)合理的な運営による経費削減
第12期より常務理事会を年6回から5回に変更し、そのスケジュールを確定した。また、開催日についても、金曜日を中心とし宿泊費等の削減に努めることとした(土曜日より宿泊費が安価)。
今後、学会予算の執行基準等ルール化が必要な案件は、適宜検討し周知を行っていく。
全体的には、各委員会・研究会予算、管理経費等法人全体の予算編成の考え方も、見直していく。
(4)事務局体制の検討
学会活動の拡大・多様化、学会の一般社団法人化などにより、今後様々な課題に対処していく必要がある。円滑な事務局運営のため、課題の洗い出しを行い、今後の体制等について検討する。
(5)ウェブサイトの安全・安定運用の検討
現在の JUAM ウェブサイトには一層のセキュリティ向上を図る必要性があり、そのために、一定のコストが一時的および継続的に発生することが想定される。役員、広報委員会を中心に対応を検討する。

<理事会・常務理事会の開催予定>

理事会、常務理事会ともに原則として事務局長校で開催。ただし 2018年9月分は総会・研究集会会場校(桜美林大学)で実施予定。
このほか、常務理事の所属大学での開催や地区研究会等との同時開催など、年間1〜2回程度、役員が地区研究会等に参加する機会をつくる。重点項目3(1)の特別シンポジウムという形などを想定する。
理事会
2018年8月、2019年5月〜6月上旬の2回を予定する。2017年度は事業年度変更の初年度であったが、2018年度はこれにならう。
常務理事会
2018年7月、8月、12月、2019年3月、5月〜6月上旬を予定
事業計画や予算策定が2〜3か月後ろにずれることから、2017年度と同じく、これまで11月および1月に実施してきた常務理事会をまとめて12月に実施し、総回数を5回に減じる。

<第22回定期総会・研究集会会場校>

2018年9月1日(土)〜2日(日)桜美林大学