2021年度事業計画

2021年6月11日 第12回理事会

2021年度(2021年7月~2022年6月)事業計画

はじめに

 長引くコロナ禍のもと、先の見えない不安定な状況が長期化している。大学の授業において対面からオンラインへの動きが加速化する中、対面とオンラインを併用したハイブリッド型授業と言われる新たな展開も生まれてきている。大学行政管理学会(以下「JUAM」という)でも各地区別・テーマ別研究会について昨年度下半期以降、オンライン実施が行われつつあり、その参加のしやすさも相まって、地域を超えて多くの参加者を集めている。
一方、高等教育の状況に目を転じると、少子・高齢化、グローバル化およびICT化が急速に発展する中において、2018年11月の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」で、SDGsやSociety5.0などが提示され、私たちのこれまでの価値観に転換を迫っている、近年は社会のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進化に伴い、大学組織・教育等に関しても大きな変革が求められている。また本年2月には、中央教育審議会大学分科会において、「教育と研究を両論とする高等教育の在り方について~教育研究機能の高度化を支える教職員と組織マネジメント~(審議まとめ)」が提言され、職員の果たすべき役割などに相当程度言及している。職員の活躍に期待しながらも、職員の大学経営に取組む姿勢・能力の現状について厳しい見方を示している。

このような環境下で、当学会の事業をどのように展開・発展させていくのか、会員の意見もできるだけ聴取しながら、以下の1~4の重点課題について積極的に取組んでいく。

<重点課題>

1.研究会・研究グループ活動の活性化

 JUAMにとって、日常行われている地区別・テーマ別研究会・研究グループの活動そのもの、そしてその蓄積が財産であり、今後さらに活発化していかなければならないものである。コロナ禍のもと、また高度化・複雑化する業務の中で、大学職員が多忙を極め、心身ともに余裕を失いがちの今日、学外で他大学等の仲間らと交流することが少なくなってきているように思われる。このことへの対応は容易ではないが、以下の取組みを着実に実行していくことで改善に結びつけることが肝要と考えている。また、自主的な研究会では対応しきれない分野横断的な総合的な研究会については、常務理事会直属の研究プロジェクトを準備・組織することも検討・実行したい。

(1)地区別研究会と三役との懇談

第13期三役として、全国8地区研究会の代表世話人、世話人らとの懇談(オンライン)を重ね、各地区の現状・問題点および要望への理解に努めてきたが、引続きこのことを続けることにより、北海道から沖縄まで幅広く会員を有する全国組織としてのJUAMの存在意義をさらに伸ばすことに繋げたい。

(2)総合的(分野横断的)な研究会の設立準備

今般、常務理事会のもとに「リスクマネジメント」に係る研究プロジェクト設置の提案を行っているが、自主的な研究会(研究グループ)で実施しにくい、総合的(分野横断的)なプロジェクトを検討している。現代社会が求める多様なニーズに対応しうることを追求していきたい。

(3)各地区若手職員によるオンライン発表会の開催

コロナ禍の中で、空間を超えて各地域の職員が集う、オンラインの有効性を実感することができた。研究活動の更なる発展はJUAMとしての大きな役割であるが、次代を担う職員を育成していくことも前者以上に重要な使命である。そのことに鑑み、7月3日に東日本2地区・西日本2地区の若手職員(39歳以下)における、職場の解決事例紹介、大学改革への問題意識の提示など、オンライン発表会を行う。今秋(10~11月)にも第2弾を行う予定であるが、このことにより、若手の成長機会に繋がることを期待したい。

2.社会への発信力強化

 JUAMは創設以来24年、会員数約1,300名を有する、わが国最大の大学職員団体である。「教職協働の時代」と言われて久しいが、大学組織・経営を支える人財であることをもっとPRし、社会から認知され、信頼を得なければならない。

(1)オンラインによる研究集会および特別シンポジウムの開催

研究団体としてのJUAMの一面を踏まえ、時宜を得たテーマについて研究集会・シンポジウムを行い、JUAM内での切磋琢磨および社会への問題提起を行う。

(2)文部科学省・大学団体等との人的交流の拡大

広く交流を外部に求め、内向き志向でなく開かれた組織を目指す。研究集会等にはできるだけ上記の方々をお呼びし、相互理解に役立てる。

(3)ウェブサイトでの会員リレーコラムの継続実施

会員相互の理解促進、学会外部への情報発信を兼ねて、昨年秋から行ってきているが、今後、若手・中堅層にも拡大し継続してきたい。

3.若手・女性会員の育成および活躍支援

 今後、JUAMが益々発展するには、組織内部でダイバーシティ(多様性)を重んじ、自由闊達な雰囲気を醸成していかなければならない。そのためにも、若手会員の育成、女性会員の活躍支援に思い切って取り組むことが求められている。また、先方から申し出があったことを踏まえ、(株)早稲田大学アカデミックソリューションと連携・協力し、特に若手・中堅対象にSD講座開設の可能性を追求して、次世代の育成に繋がることを望んでいる。

(1)各地区若手職員によるオンライン発表会の開催(上記1.(3)再掲)

(2)若手海外派遣の継続実施

数年前、若手海外派遣により、一定の金額を補助し若干名を英国に派遣し、参加本人のみならず、周囲の方々にも高い評価を受けた。補助経費の確保の厳しさはあるが、3年ごとに派遣できるよう、広告収入の増収にその原資を求めつつ、配慮していきたい。

(3)若手・中堅および女性会員の役員・常設委員会役職などへの登用

次期役員では、関東地区を中心に、若手・中堅および女性の役員(常務理事・理事)への登用を意識的に行ったが、今後も同様の試みを続けたい。また、常設委員会の役割を再認識し、委員会委員や役職者が、役員へ進んでいけるようなキャリア形成も模索したい。

4.組織基盤の安定化

 JUAMの組織運営を支える常設委員会や事務局(市ケ谷オフィス含む)などの運営において、一般社団法人に相応しい透明性を担保した、合理的・効率的な体制にしていくことにより、安定的で継続性のある組織体に再編する。なお、常設委員会の委員長・副委員長の選出にあたっての手続の明確化も併せて行う。

(1)常設委員会(研究・研修、学会誌編集、国際、組織、広報)と三役・常務理事会とのコミュニケーション強化第13期三役として、JUAMの運営基盤を支える常設委員会の重要性を深く認識し、各委員会委員長らとの懇談を行い、活動実情・課題の把握・理解に努めてきた。今後もこの方針を継続したい。

(2)定款、定款内規の見直し

入会資格の緩和など、20数年経過し実情にそぐわない事項について改正提案を行い、次期総会に上程予定である。また、役員定年・連続任期制限については大きな問題であり、組織委員会で十分な検討を経て、常務理事会で慎重な議論を行う予定である。

(3)事務局運営の円滑化および事務局校の業務軽減

会員数の増大、業務運営の多角化などに伴い、事務局業務の負担、特に事務局長校の業務軽減が喫緊の課題となっている。事務局業務の一部委託化などを進め、合理化を進めることで改善を図りたい。