2022年度事業計画

2022年6月8日 第15回理事会

2022年度(2022年7月~2023年6月)事業計画

はじめに

 WHOによる2020年3月11日のパンデミック宣言から既に2年3か月余が経過した。いまだコロナ禍の出口は見えないものの、世界各国は過度の警戒を見直し、コロナ禍以前の活動レベルを取り戻すべく、ウイズ・コロナの準備を着々と進めているように見える。
日本における感染への警戒感は敏感に過ぎるようにも思えるが、1年前には東京オリンピック・パラリンピックの開催の判断を時期尚早と非難していたことを思えば、何をもって正しい判断とするかは難しい。
一方、2022年2月24日に始まったロシア軍によるウクライナへの進行は世界を驚愕に陥れ、人々は新たな脅威への対応を求められるようになった。それは、遠く離れた日本においても例外ではなく、我々が身を置く高等教育の世界でも例外ではない。JUAMの会員である我々が、平和な環境下で高等教育に携わる者の責務として、いま何をすべきなのか、何が出来るのかを深く考える機会を与えられたような気がする。
足元に目を転ずれば、2020年度、2021年度に比べると多少の落ち着きを見せ始めている日本社会の中、大学行政管理学会(以下、JUAMという)は2022年度の研究集会を対面と非対面のハイブリッド方式で開催する準備を進めるなど、着実にコロナ禍への対応を高度化させている。コロナ禍の中でのここ数年の活動を将来、振り返った時に、「失われた◎年」と呼ばれることは避けなければならず、2022年度も、そのための試行錯誤を続けていく。
これまでに続き、2022年度においても会員の意見を幅広く聴取しながら、以下の重点課題について積極的に取組んでいきたい。

<重点課題>

1.研究会・研究グループ等の活動の活性化

(1)研究・研修実施体制の強化・効率化と新時代の「研究集会」の確立

コロナ禍における過去2年余の研究会活動の経験値を踏まえ、2022年度の研究集会を対面・非対面のハイブリット方式により実施するなど、研究・研修体制の強化・効率化と、時代に即した開催スタイルを確立する。

(2)地区別研究会の連携と運営の効率化

地区によっては理事の人選にも切迫感を抱えるなど、活動の継続性に関係者の献身的協力が不可欠な地区活動を担保するため、三役と地区別研究会間の連携を進め、運営の効率化を図る。

(3)WASとの連携によるSDプログラムの開発と会員の発表の場の確保

2021年9月から模索的に連携を開始した早稲田大学アカデミックソリューション(以下「WAS」という)との関係性を精査し、本来、JUAMとして整備すべきSDプログラムをWASと共同して検討する。

(4)大学が当面する諸課題に関する定点調査の実施について

第13期からの継続課題である定点調査について、会員への意識調査として組織委員会へ検討を要請し、第14期中の実施を目指す。2022年度については調査実施概要をまとめた上で、実施に向けた準備を可能な限り進める。

2.社会への発信力の強化

(1)JUAMの社会的プレゼンスを高めるための中期ビジョンの策定

研究活動成果(DB)やJUAMシーズの社会への発信、積極的な政策提言やパブリックコメント対応等を行う。

(2)文部科学省・大学団体等との人的交流の拡大

広く交流を外部に求め、内向き志向でなく開かれた組織を目指す。研究集会や地区別研究会等には文部科学省をはじめ、できるだけ外部の関係者を招き、相互理解・連携に繋げる。また、文部科学省の施策の形成に当たり、役員を中心としてJUAM会員の意見を積極時に届けられるような関係性を構築する。

(3)オンラインによる研究集会および特別シンポジウムの開催

研究団体としてのJUAMの一面を踏まえ、時宜を得たテーマについて研究集会・シンポジウムを行い、JUAM内での切磋琢磨および社会への問題提起を行う。

3.女性・若手会員の活躍を支援女性・若手会員の活躍を支援

(1)若手・中堅および女性会員の役員・常設委員会役職などへの登用

14期役員(常務理事・理事)選任時に続き、今後も若手・中堅および女性の登用を続けたい。あわせて、各常設委員会委員や役職者、タスクフォースメンバー等がJUAM役員へ進んでいけるようなキャリアパスも検討したい。

(2)各地区若手職員によるオンライン発表会の開催

コロナ禍の中で空間を超えて各地域の職員が集えるオンラインの有効性が実感されたが、それに伴いJUAM内における若手会員のプレゼンスも飛躍的に高まった。2021年度に引き続き、2022年度もオンライン発表会を行い、若手職員の成長の機会を確保したい。

(3)若手海外派遣の継続実施

高等教育のグローバル化が進む中で、海外の高等教育事情に知見のある職員を養成することは、「大学行政にたずさわる人材の育成をとおして、大学の発展に寄与すること」を目的とする(定款第3条)JUAMの重要な役割の一つであり、広告収入を安定的に確保することを原資とし、3年ごとに若手の学会員を派遣できるようにしたい。

4.組織基盤の強化・安定化

(1)JUAMシーズDBの編成・活用

2016年頃から本学会webサイトにおいて「研究データベース」として蓄積・公開されている、研究集会で発表された研究成果や、別にデータベース化されている地区別研究会・テーマ別研究会の研究活動成果等の知的資源を「JUAM会員シーズDB(仮称)」として再編し、広く社会へ公開する等の有効活用策を検討する。
主に以下の3点のDB構築をめざすが、実現可能なものから着手・実施する。

  • JUAM会員シーズDBの構築
  • SDプログラムDBの構築
  • 各研究会・研究グループの研究・統計DBの構築

(2)常設委員会(研究・研修、学会誌編集、国際、組織、広報)の運営方法の最適化委員会メンバーの負担が大きい研究・研修委員会、査読の体制等に改善の余地のある学会誌編集委員会、原則として構成員が理事であることから継続性の担保に不安のある組織委員会、役割そのものに今後検討を要する広報委員会、三役や常務理事によるサポートが決して十分ではない国際委員会など、常設委員会の運営上の課題の解決を、委員の意見を尊重しながら適宜進めていく。
あわせて、事務局(市ケ谷オフィス含む)などの運営においても、より安定的で継続性のある組織体に改善する。

(3)三役タスクフォースの編成

三役や常務理事会、理事会が扱うには難しい課題、あるいは中長期的に検討が必要な課題、各種調査が必要な課題などについて、新たに三役の下にタスクフォース(実行部隊)を編成する。本タスクフォースは各地区別・テーマ別研究会や各種委員会に委託しにくいものや、三役直轄課題の検討を委ねる。

(4)定款、定款内規の見直し

第13期からの引継がれた課題である役員の定年、役員定数等について組織委員会に諮問し、必要に応じ定款、定款内規等の改正を行う。

(5)事務局運営の円滑化および事務局校の業務軽減

発足以来の会員数の増大、会の活動の多角化、一般社団法人化に伴う透明性・健全性の確保等に伴い、学会事務局の業務負担は増加の一途をたどり、とりわけ事務局長校の業務負担の軽減が喫緊の課題となっている。事務局業務全般の見直し、事務局体制の見直しとあわせて事務局業務の一部委託化などを進め、合理化を進めることで改善を図りたい。

(6)財政の安定化

会の活動の本質を損なうことなく、予算執行の効率化を図り、収支均衡の予算を編成することを目指したい。具体的には収入面においてJUAMの主な収入はである会費収入と、広告収入を確実に確保していく。広告費の獲得に当たっては、三役を中心に常務理事、理事と足並みを揃え獲得に努める。加えて、研究集会等において企業の有料の参画を認める等、収入の多角化を図る。支出面においては、コロナ禍により会の活動方法が大きく変化を遂げた現在は、財政構造を見直し安定化を図る好機である。常務理事会及び理事会の開催方法の見直し等、経費の節約に努める。

(7)30周年事業(2026年度前後)に向けた財源の確保

1997年1月11日が設立日のJUAMは、2026年度前後に30周年を迎える。30周年事業等が行われることを見込み、2022年度決算時において特定資金を積み立てることを想定し、収支均衡を目指し2022年度予算を編成した。