第2回受賞者 渡邊 徹 氏(日本大学)
1. 表彰日:2007(平成19)年9月8日 2007年度定期総会・研究集会
2. 場 所:福岡大学
3. 表彰内容:孫福賞選考規程第7条第1項第2号(委員会、支部・地区別研究会、テーマ別研究グループ等の成果又は構成会員の特に優れた実績)に適い、第2条第2号(大学行政管理分野に関わる実践・研究水準の向上)により孫福賞を授与する。
4. 選考理由:長年にわたり財務研究グループのサブリーダーとし、グループの運営・人材の育成にあたられるとともに、同グループによる研究成果である「大学財務研究」の出版に対しても多大の貢献をしてきた。また、会計学の専門的知識を生かした学校会計に関する入門講座や入門書の執筆による積極的な啓蒙活動などから、その理論的・実践的に顕著な実績が確認できる。さらに日本会計研究学会やUSR研究会や経理研究会等で活躍されており、大学行政管理学会の地位向上・認知向上にも貢献をしてきた。今後も更に大学行政管理分野に関わる実践・研究水準の向上に貢献し続けるものと考えられる。
■ 渡邊徹プロフィール■ 日本大学医学部付属板橋病院医療情報課長
著書 『学校簿記演習』(単著)/特定非営利活動法人 学校経理研究会 『大学財務研究』(共著)/特定非営利活動法人 学校経理研究会
「第 2 回 孫福賞を受賞して」 日本大学 渡邊 徹
この度,私が孫副賞を受賞できましたことは,ご推薦を頂きました國學院大學の杉崎氏と日本大学の大工原氏をはじめ,財務研究グループの諸氏,学会理事及び関係者の皆様のご指導とご支援の賜と深く感謝申し上げます。身に余る光栄とはまさにこのことであり,私のような者で良いのだろうかと自問することしきりですが,皆様のご厚情に適うように今後とも精進して参りたいと存じます。
私の受賞理由は,孫副賞選考規程第 2 条第 2 項の「大学行政管理分野に関わる実践・研究水準の向上」です。研究テーマは学校法人会計であり,平成 4 年に「学校簿記演習」という本を出版して以来,15 年の間に拙著の執筆,雑誌への投稿,学会での発表,講習会での講義などの活動を行って参りました。学校法人会計は,一般の人にはもちろん会計担当者や会計士などの専門家にも理解し難いということから,どうにか分り易い解説ができないものかと考えたのが事の始まりです。
学校法人会計における一番の難問は基本金に関する事項です。これについては雑誌「学校法人」に30 数回にわたって連載をするとともに,講演会や各種学会で発表することによって多くの方々に問題点や矛盾点を訴えてきました。
その後,学校法人会計基準改正の気運が高まって来ましたので,平成 14 年からは財務研究グループのテーマとして基本金のあるべき姿を中心に検討を重ねました。公認会計士協会や文部科学省,私学振興共済事業団の方々にも機会を作っていただき,意見交換も実施しました。平成 17 年 4 月の改訂には我々の主張が十分に反映されませんでしたが,次回の改正では考慮されるはずです。学校法人会計の研究は私のライフワークであり,会計制度が理解し難く,理論的な不備,実務的な不都合がある限りは発言を続けていきたいと考えております。
私がはじめて本を出した当時,大 学の組織や制度,事務処理について一緒に研究する仲間や発表する場所はほとんどありませんでしたが,今は大学行政管理学会を発展させてきた諸先輩のお陰で非常に恵まれた環境が整っています。残念ながら,孫福氏は他界されてしまいましたが,大学職員が自ら研鑽を積んでプロフェッショナルとしての自覚を持ち,大学行政の中心で活躍しなければ大学の発展はないという理念は綿々として受け継がれています。私も微力ながら孫福氏の志しを少しでも広め,大学と学会の発展のために寄与させて頂く所存です。