第4回孫福賞(福島 一政)

2009年度 第4回孫福賞受賞者

福島一政氏 (日本福祉大学事業顧問、学校法人東邦学園理事(受賞時))

1.表彰日: 2009(平成21)年9月5日  2009定期総会・研究集会

2.場 所: 立命館大学 衣笠キャンパス

3.表彰内容:

福島氏の業績は、孫福賞選考規程第七条第一号(研究集会発表、学会誌投稿その他これに準ずる本会内外の特に優れた研究・実践業績)、第二号(委員会、支部・地区別研究会、テーマ別研究グループ等の成果又は構成会員の特に優れた実績)及び第三号(大学職員の社会的若しくは国際的評価又は認知度の向上に関わる特に優れた実績)に該当し、同規程第二条第二号及び第四号により孫福賞を授与する。

4.選考理由:

福島氏は、本会創設時に入会以降、1997年の学会第1回研究集会開催に先立って「現代の大学における職員の役割」と題し、4月26日青山学院大学での職員・Top Management合同研究会、5月31日の日本福祉大学での経営管理研究会(西日本支部)において報告を行った。学会創設期のこうした活動を皮切りに、福島氏の業績は、大学改革を推進する実践的大学職員論、戦略的思考法をもったプロフェッショナル職員論、職員・教学研究会や大学経営評価指標研究会をはじめとする諸活動、学会や大学行政管理職員の社会的国際的評価や認知度への貢献等を主たる領域として、幅広く実践・研究されてきた。

また、福島氏は職員・教学研究会を設置した一人として草の根から大学改革の現場に密着し寄り添い、他方で職場における大学経営の最前線での緊張感を保ちつつ、地方の大学人との交流を幅広く展開し、学会活動や職員論の普及活動に力を発揮された。

さらに、文部科学省・中央教育審議会における学士課程教育の審議・検討に関わって、学会の知見を反映させるため、多大な尽力をされた。このような、実践的かつ広範囲な学会活動は、「職員が変わらなければ大学は変わらない」という志の高さと強い信念があり、実践を通じて研究と理論化を推進されてこられたことは、その研究業績と実践領域の質と量から明白である。

<福島一政氏プロフィール>

<学歴> 1972年3月 立命館大学経済学部卒業

<職歴および現職> 1972年4月学校法人法音寺学園(現学校法人日本福祉大学)に事務職員として入職、日本福祉大学常務理事・執行役員・学長補佐・事務局長を経て、日本福祉大学学園事業顧問(現在に至る) 学校法人東邦学園理事(現在に至る) 名城大学大学院 大学・学校づくり研究科非常勤講師(現在に至る)

<その他役職> 1996年5月 日本私立大学協会大学教務研究委員会委員(~2008年3月)                (2004年6月~2008年3月 副委員長) 2003年12月 特定非営利活動法人NPO愛知ネット評議員(現在に至る) 2005年9月  大学行政管理学会会長(~2007年9月) 2007年4月  国立大学マネジメント研究会理事(現在に至る) 2008年4月  「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」ペーパーレフェリー(~2008年7月)  2008年4月  大学行政管理学会SDプログラム検討委員会委員長(現在に至る)

<主な著作等> 『私立大学マネジメント』2009年4月(東進堂)「第2章私立大学の現状と課題」 「大学職員論」1998年3月(大学行政管理学会誌第1号) 「プロフェッショナルな大学職員の養成」2007年7月(大学と学生第43号) 「自主性・自立性を育てる有効な職能開発と職場風土づくり」2008年7月(Between226号)

孫福賞受賞式 孫福賞授賞式

孫福賞受賞記念講演 「孫福賞受賞記念講演」

握手

授賞式 全景

<孫福賞を受賞して>

先般の総会において孫福賞をいただき、身に余る光栄と大変感激しています。

推薦してくださった慶應義塾大学の椎名絵里香さん、日本福祉大学の水谷早人さん、選考委員会の井原徹委員長を始めとした委員の皆さん、横田利久会長を始めとした学会理事会の皆さんには、私のやってきたことを仔細に評価していただき、いくら感謝しても感謝しきれません。ありがとうございました。

私の受賞理由は、研究・実践業績、研究会等の成果、大学職員の認知度向上の3点にわたるとされています。しかしながら私のやってきたことは、自分ひとりで成し得たことは一つもなく、多くの学会の仲間や日本福祉大学の教職員の皆さん(非専任の方々も含めて)との協働作業の結果です。そのような皆さんと一緒にしてきたことが評価されたことにもなり、二重の意味で嬉しく思います。

さらには、私が学生時代を過ごした母校のキャンパス、以学館1号ホールという思い出深い教室の壇上で受賞できたことは、願ってもできない幸せなことでした。

これからは、過去3名の受賞者の方々と同様に、これを励みにして一層精進したいと思います。

今後は、地方の大学経営、学生の教育、プロフェッショナルな職員の養成の3領域で、これまで以上の活動を展開したいと考えています。

さしあたり、今次総会でSDプログラム検討委員会の中間報告を行い、その中で委員会としての「提言案」をまとめておりますので、最終の取りまとめに向けて、全国各地区で「SDフォーラム」を開いていただき、多くのご意見をいただきたく思っています。

個人的には、この3月で37年間勤務した日本福祉大学を定年退職し、4月からは同大学の学園事業顧問として少しだけお手伝いしています。また、学校法人東邦学園(愛知東邦大学・東邦高校)の理事として非常勤ではありますが経営戦略などを担当しています。他にもいくつかの不定期な仕事もしておりますが、すべては、先に挙げた3領域にかかわる仕事です。

これからも日本の高等教育の新しい発展のために、皆さんと一緒に奮闘します。