第8回孫福賞(杉﨑 正彦)

第8回(2014年度)孫福賞受賞者

杉﨑 正彦 氏(國學院大学)

1. 表彰日:2014(平成26)年9月5日(土) 2014年度 定期総会・研究集会

2. 場 所:東北学院大学 土樋キャンパス

3.表彰内容:

孫福賞選考規程第7条第1項第一号(研究集会発表、学会誌投稿その他これに準ずる本会内外の特に優れた研究・実践業績)、第二号( 委員会、支部・地区別研究会、テーマ別研究グループ等の成果又は構成会員の特に優れた業績)及び第三号( 大学職員の社会的若しくは国際的評価又は認知度の向上に関わる特に優れた業績)に該当し、同規程第2条第二号、第三号及び第四号により、孫福賞を授与する。

4.選考理由:

(1) 研究集会発表、学会誌投稿その他これに準ずる本会内外の特に優れた研究・実践業績(第7条第1項第一号) 今回推薦させていただきます財務研究グループリーダーの杉﨑正彦氏は、大学行政管理学会(以下「学会」という。)発足時から発起人として携わられ、学会の中心人物として啓蒙に務められて参りました。
 これまで、数期に渡り理事を歴任され、また毎年行われます研究集会開催にあたり、企業等への協力・協賛等を働きかけるなど、学会の発展や認知度の向上にたいへん尽力されて参りました。

(2) 委員会、支部・地区別研究会、テーマ別研究グループ等の成果又は構成会員の特に優れた実績(規程第7条第1項第二号)

 学会での研究活動では、大学行政管理学の主要素のひとつである学校経営及び学校会計を研究する財務研究グループの主要メンバーとして発足時から携わられ、現在、 リーダーとして学校法人会計における最大の課題である「分かりにくさ」や本来あるべき学校会計について、どのような学校法人会計基準が望まれるのか、より良き改正を目指して、 グループ内での研鑽内容を研究集会で発表するとともに、研究会に日本公認会計士協会学校法人委員会委員の公認会計士や文部科学省、日本私立学校振興・共済事業団の行政担当官の方々をお招きし、 学校法人会計基準改正に向けた要望を伝える機会を設けるなど積極的な活動をされて参りました。また、さらに研究の幅を広げかつ深めていくことを目的とし、関西の財務問題研究会と連携し、 合同研究会の開催を企画されるなど財務グループの発展に寄与されております。
 学会創立10周年となった2006年9月には、財務研究グループから学校法人会計基準の課題や問題提起を行った『大学財務研究』を刊行し、「学校法人会計基準の分かりにくさ」としてあげられている基本金について、 『貸借対照表上の基本金の表示に関する一考察』の中で、基本金の計算方法と表示方法について研究成果を公表しています。
 また、経営層及び実務者向けにわかりやすく学校法人会計基準を説明するために2011年3月に刊行した『これならわかる!学校会計~いまさら聞けない・これから知りたい~』では、執筆された「学校法人会計基準のゆくえ」の中で、さらに踏み込み、国立大学法人会計などの国内における非営利法人会計との比較可能性や国際会計基準(IFRS)概念フレームワークをモデルに、 学校会計基準の概念フレームワークの確立の必要性について提言され現在その理論の構築に向けて、研究を行っております。
 さらに、2015年度から施行される学校法人会計基準の改正を踏まえ、学校法人の経営を担う経営者層及び実際に会計実務を担う実務者層、学校の財務状況を知りたい様々なステークホルダーなどに理解いただくため、『これならわかる!学校会計~いまさら聞けない・これから知りたい~』の改訂に向けご尽力されております。

(3)大学職員の社会的若しくは国際的評価又は認知度の向上に関わる特に優れた実績(規程第7条第1項第三号)

 学会以外の団体では、学校等教育機関の健全な発展を支援し、広く一般市民が国公私立を問わず、 経営基盤の安定した健全な学校等教育機関による個性のある自由な教育を受けられる豊かな社会の実現に寄与することを目的としているNPO学校経理研究会において理事を務められ、 講習会・セミナー等の講師や機関誌である「学校法人」の編集委員長も長年務められており、学校経理担当者や理事者等に対して学校経営・学校会計の啓蒙活動をされております。 また、私立学校における社会的責任とその説明責任を考察するべく、私立学校の社会的責任(USR)研究会の設立時に幹事校の代表として研究活動の中心的な役割を担われており、 今後本学会へ活動を継承するにあたり、その準備にも参画されております。さらには、本学会が共催し既に 7 回にわたり開催しております「大学のグローバル戦略シンポジウム」(UGSS) [みずほ証券主催]の企画にアドバイスを行い、大学経営、財務戦略等について内外の講演者等と行うラウンドテーブルのコーディネーターを務めるなど日本の大学事務職員を代表した活動も行っております。

5.孫福賞を受賞して

 孫福賞という栄誉ある賞を頂き、身に余る光栄と感謝しております。私を推薦していただきました、東洋大学の笠原様、桜美林大学の後藤様、青山学院の竹田様ならびに神奈川大学の田島様に感謝しますとともに、 孫福賞選考委員会委員長の横田様をはじめとする選考委員の方々、学会の理事会の皆様、さらには、私にかかわった全ての方々に、心より感謝いたします。 今後は、孫福賞受賞者として相応しい活動が行えるように努力していきたいと思います。私と大学行政管理学会の関わりは、発足時に世話人である中央大学の高橋様から、 発起人になれといわれて、お引き受けしたところからです。その後、当学会元会長の井原徹氏が、組織・業務管理研究グループを立ち上げるときに参加し、 サブリーダーとしてお手伝いをしました。その後、関心の高い分野である「財務」に関する研究グループが無いことから、友人である渡邊徹氏と相談して、 財務研究グループを立ち上げて現在まで続けております。私の最近10年間の活動では、50歳の時に専門職大学院で修士の学位を取りました。また、4年前には、 丁度、私が実行委員長となり國學院大學で大学行政管理学会の総会・研究集会が開催されましたが、その1週間後に、アメリカ国務省の招待でIVLP(インターナショナル ビジター リーダーシップ プログラム)で3週間アメリカ各地を回り、「大学同窓会と寄付募集」についての調査研究をしました。 このIVLPで初めて、私立大学事務職員のグループが参加したといわれました。孫福さんはフルブライトの上級研究員でアメリカに行っていますので、 孫福さんの偉大さを再確認しました。学会の財務研究グループでは、3冊の本を出版しました。私が企画しましたが、書いたのは財務研究グループのメンバーです 。原稿の締め切りには私を除き全ての原稿が集まるという、素晴らしい仲間たちです。もちろん、執筆者となっていないメンバーもたくさんおりますが、 今回の受賞が財務研究グループでの活動が評価されているとすれば、当研究グループのメンバーも同様の評価を得たものと思っております。今回の受賞に至ったのは、 多くの方に支えられたからでありますが、その中でも一番大きく私を支え、成長させてくれたのは、自分の職場であることは申し上げるまでもありません。 最後になってしまいましたが、職場の上司、同僚に、この場を借りて、深く感謝いたします。

<杉﨑 正彦 氏プロフィール>

<学歴>1977年3月 中央大学商学部経営学科卒業、2005年 中央大学専門職大学院国際会計研究科修了

<職歴> 1977年4月 東京電機大学 入職、教務課長、経理課長、1997年國學院大學 入職、企画課長、経理課長、財務部次長を経て財務部長に至る。

<その他役職>

1997年 大学行政管理学会 発足時発起人、2001.9~2005.9同学会理事、2005.9~2007.9同学会常務理事、 2006年 NPO法人学校経理研究会 理事、2006年 月刊「学校法人」編集委員長、2007年12月 月刊「大学マネジメント」編集委員、2013年4月~大学マネジメント研究会 副会長、一般社団法人大学監査協会 会計・財務委員会 委員他 多数。