我が国では現在、コロナ禍による一時的な留学生数の減少に見舞われているものの、2017年にはUNESCOの「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約(東京規約)」を締結し、2019年に「留学生30万人計画」を達成するなど、国際的な学生流動化の潮流を受け、外国において学習経験を有する学生の受入れは、将来的にも一層拡大を続けることが予想されます。
東京規約は外国学習歴・資格認証(Foreign Credential Evaluation/Recognition:FCE)(※)に対して「得られた知識および技能」の同等性を重視し、実質的な差異が認められない場合は資格を認証すべきことを規定し、審査に透明性、一貫性、信頼性、公平性の担保を求めています。国境を越えた学生のモビリティが高まる中、外国の学習歴を有する志願(入学予定)者に対する確認事項の多様化、評定の複雑化が進むFCEに対して、各大学の業務従事者は、どのように向き合い、如何なる課題意識を有しているのでしょうか。
そこで大学行政管理学会(海外職員団体等調査・連携企画チーム)では、各大学に必要とされる情報の性質や範囲を洗い出し、大局的な視点より大学が進むべき方向性を明らかにするため、全国の大学を対象としたFCEの実態調査を行いました(調査期間:2022年5~6月)。本調査アンケートにご協力いただいたデータの大要を、以下のとおり「調査速報」としてまとめました。FCEに従事する大学教職員の皆様の参考となれば幸いです。また、この場を借りて、調査アンケートにご協力いただきました多くの皆様に厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
※ FCEとは、外国において付与された学位や学習歴に対し、それを所有する者を受け入れようとする国の教育制度や資格に比して同等性や接続性を評定する行為をさす(大学改革支援・学位授与機構(2021):『高等教育に関する質保証関係用語集第5版』, p. 8)
外国学習歴・資格認証(Foreign Credential Evaluation/Recognition: FCE)に関する実態調査【調査速報】.PDF
JUAM International Relations and Research Team(IRRT)とは:
IRRT(海外職員団体等調査・連携企画チーム)は、「テーマ別研究会設置・運営要領」に基づかない組織として、2021年7月に国際委員会の中に設置されたプロジェクトである。第1期生(2023年6月まで)はJUAM会員の中で公募を行い、6名の大学職員が選ばれた。チームの主な活動内容は、①海外各国・地域の職員団体や大学等にかかわる調査および情報収集活動、②JUAMの国際連携案の策定、③成果の発信によるJUAM 会員への還元、の3点である。現在はIRRTのメンバーの専門分野や興味関心に応じて、複数のSpecial Interest Group (SIG)を構成し、各メンバーが主体的な調査活動を展開している。